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韓国最高裁、「被害者らしくなかった」として強制わいせつに無罪を下した二審を破棄

登録:2020-11-17 02:46 修正:2020-11-17 09:00
「被害者の反応、加害者との関係や状況により異ならざるを得ない」
//ハンギョレ新聞社

 強制わいせつの被害者の反応が一般的な被害者らしくないという理由などで被告に無罪が言い渡された事件について、最高裁判所が有罪を意図して破棄し、地裁に差し戻した。最高裁は、性犯罪の被害者の対処のあり方は具体的な状況によって異ならざるを得ず、「被害者らしさ」という物差しで被害者の陳述の信憑性を判断することはできないということを重ねて強調した。

 最高裁3部(主審:ミン・ユスク最高裁判事)は16日、コンビニエンスストアの店長に強制わいせつをはたらいた疑いで起訴された本社社員A被告の事件を破棄し、昌原(チャンウォン)地裁に差し戻したと発表した。2017年4月、A被告は一人で勤務していた被害者の頭を触り、顔に口をつけた容疑で起訴された。一審は、被害者の陳述が一貫しており、CCTV(防犯カメラ)の映像などの関連証拠がこれを裏付けるとして有罪を言い渡した。しかし二審は、「被害者はA氏との身体接触を避けようとする態度を示してはいるものの、たびたび笑う様子を見せ、さらなる接触が可能な範囲内で避けている」とし、「被害者の意思に反して強制的に接触したようには見えず、わいせつ行為があった人の態度には見えない」として無罪を言い渡していた。

 被害者は法廷で「店長として本社職員のAさんに強く対応することは難しく、犯行当時も『やめてくれ』とは言ったものの、Aさんは体に接触し続けた。驚いて笑ってしまったのだと思う」と説明したが、裁判所は「(二人の関係が)『地位における上下関係』とは思えない」として被害者の主張を退けた。

 しかし最高裁は、店長だった被害者の立場と陳述の一貫性に注目した。最高裁は「A氏の身体接触を拒否する態度を示してもおり、業務上正面から抵抗しにくい関係に置かれた被害者の立場としては、可能な限りにおいて拒絶の意思を示した」とし「被害者に『被害者らしさ』が表れていないことを指摘した二審の判断は妥当ではない」と述べた。最高裁は、被害者が事件当日に警察に通報してから一審での証言に至るまで、被害事実を具体的に陳述しているのに対し、A氏の陳述は捜査と裁判の過程で少しずつ変化していることも指摘した。最高裁は「性暴力の被害者の対処は、被害者の性格や加害者との関係、具体的な状況によって異なる表れ方とならざるを得ず、被害者が当時直面した事情を考慮せずに被害者の陳述の証明力を受け入れないのは不当」と指摘した。

チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/970113.html韓国語原文入力:2020-11-16 13:53
訳D.K

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