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[ニュース分析]菅首相に書簡で対話呼びかけた文大統領、韓日関係回復の契機なるか

登録:2020-09-18 06:12 修正:2020-09-18 08:03
文大統領、菅首相に就任を祝う書簡 
 
菅首相、安倍前首相の歴史修正主義とは距離置き 
両国関係を緊張状態に追い込む可能性は低い 
 
年内の3カ国首脳会議の実現がカギとなる 
韓中日会議が開催されれば両国首脳会談で 
変化の契機を見いだせるかに注目集まる
菅義偉新首相が今月16日、東京の首相官邸で就任後初の記者会見を行っている=東京/AFP・聯合ニュース

 菅義偉新首相の16日の就任を機に、政府が「歴代最悪」の状態に陥っている韓日関係の改善に向けた強い意志を示した。しかし菅首相が「安倍内閣の継承」を前面に掲げており、短期間で大きな変化を期待するのは難しいとみられる。

 カン・ミンソク大統領府報道官は同日午後、「文大統領が今日午後、菅新首相宛てに書簡を送って就任を祝うと共に、在任期間中に韓日関係のさらなる発展に向けて一緒に努力していきたいという意向を示した」と述べた。大統領府はさらに一歩進んで「基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも向かい合って対話し、コミュニケーションを取る準備ができており、日本側の前向きな反応を期待している」としたうえで、「積極的に協力して歴史問題を賢明に克服し、経済・文化・人的交流などあらゆる分野で未来指向的かつ互恵的に協力を強化していきたい」という意思も明らかにした。1カ月前の8・15記念演説では「協議の扉を開けている」と対話の意思を強調する水準にとどまったが、今回の書簡では「日本側の前向きな反応を期待する」という大胆な表現まで使い、日本の誠意ある対応を要請した。韓国政府のこのような動きは、米中が鋭く対立しており、朝米間の核交渉で進展が見られない状況で、両国関係をこれ以上放置できないという“戦略的判断”によるものと見られる。

 しかし、菅首相が「安倍内閣の継承」を前面に掲げており、短期間に大きな変化を期待するのは現実的に難しい状況だ。菅首相も官房長官時代、両国間の最大懸案である強制動員被害者に対する賠償問題について「韓国が責任を持って解決策を示さなければならない」と述べており、5日付の産経新聞のインタビューでも「日韓請求権協定は日韓関係の基本」という認識を示した。日本外交の司令塔と言える茂木敏充外相を留任させたことからも確認できるように、安倍晋三前首相が進めてきた外交路線に今すぐ大きな変化は見られない見通しだ。

 幸いなのは、菅首相は、「自虐史観の克服」など安倍前首相が執着した歴史修正主義の基調とは距離を置いており、歴史問題に対する不適切な言動で韓日関係を緊張状態に追い込む可能性も低いことだ。菅首相は2013年12月の安倍首相の靖国神社参拝を最後まで反対したが、安倍前首相が意志を曲げなかったことを受け、イ・ビョンギ当時駐日韓国大使に直接電話をかけてこの事実を予め伝えたこともあった。

 今後、韓日関係の流れを決める要因としては、今年韓国で開かれる予定の韓中日首脳会議の年内開催の可否だ。これと関連し、大統領府は先月22日、中国の楊潔チ・共産党外交担当政治局員の訪韓結果を説明する際、「(韓中)双方は韓中日首脳会議の年内開催の必要性についても協議した」と明らかにした。日本がこれに同意し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大状況が安定して管理されれば、自然な流れで文在寅大統領と菅首相の初の首脳会談が実現する可能性が高い。会談が開かれれば両国首脳は昨年12月に確認した通り、「対話を通じて早期に問題を解決していく」という基本立場を再確認するものとみられる。

 現在、韓日外交当局は、COVID-19などの影響で、2018年10月の韓国最高裁(大法院)の判決に触発された両国の対立の解決に向けた意味ある協議を進められずにいる。両国間の局長級対面協議も2月以降開かれていない。こうした状況で両国首脳が直接会って問題の早期解決の必要性を改めて確認すれば、膠着状態に陥った外交協議が急速に進む可能性もある。しかし、この問題をめぐる韓日の隔たりがあまりにも大きく、本格的な交渉が始まっても最終合意に至るまではかなりの難航が予想される。

キル・ユニョン、ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/962485.html韓国語原文入力:2020-09-1702:48
訳H.J

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