日増しに激しさを増している米中対立の中で、韓国国防部が先月発表した「軽空母確保計画」に懸念の声が高まっている。日本の前例からして、この軽空母は、米国の対中圧迫戦略である「インド太平洋戦略」によって中国牽制に動員される可能性が高い。
国防部は先月10日、「2021~2025国防中期計画」を発表し、3万トン級の軽空母確保事業を2021年から本格化すると明らかにした。国防部が掲げた軽空母導入の理由は「朝鮮半島付近の海域と遠海の海上交通路を保護するため」だ。遠海の海上交通路とは、中東から東アジアに至る「原油運送路」を意味するもので、韓国の軽空母の模擬作戦半径は中東~インド洋~南シナ海~東シナ海にまで広がる。韓国が空母一隻をもって遠海で単独作戦を繰り広げるのは不可能であるため、結局、米国との協力は避けられない。
興味深いのは、日本の例だ。日本が空母の導入計画を発表したのは韓国より1年8カ月ほど早い2018年12月だった。日本は当時、防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画を発表し、米国の最新鋭の垂直離着陸機B-35Bを42機導入して、これを運用できるよう、いずも型護衛艦(基準排水量1万9500トン)2隻を改造する計画を決めた。攻撃用戦略兵器である空母の導入は、日本が敗戦後70年間以上守ってきた「専守防衛」の原則を破ることだったが、安倍政権は「太平洋側の広大な地域における防空態勢の強化」と「飛行機が離着陸できる飛行場の不足」などの理由を挙げ、計画を推し進めた。
それから5カ月後、空母の保有を目指す安倍政権の本当の狙いが明らかになった。訪日中のドナルド・トランプ米大統領が2019年5月28日、安倍晋三首相とともに「かが」(いずも型護衛艦2番艦)に乗艦したのだ。安倍首相はこの場で「インド太平洋を自由で開かれたものにし…地域の公共財としての日米同盟のさらなる強化に向けて、日本はしっかりとその役割を果たしていく」と熱弁をふるった。 軍事的に一体化された日米同盟がインド太平洋地域で共に活動し、中国の浮上を封じ込めるという宣言だった。日本は今年の予算31億円を投入していずもの改造作業を進めている。
これまでいずもとかがは南シナ海とインド洋まで進出し、日本の軍事的な存在感を誇示してきた。いずもは昨年6月、米空母「ロナルドレーガン」と共に中国とASEAN周辺国の間で領土紛争が起きている南シナ海での合同演習に参加しており、かがは7日から来月17日までスリランカが位置するインド洋まで派遣されて演習を行う予定だ。
韓国の計画は日本よりもさらに大規模なものだ。日本はすでに保有している大型護衛艦を改造するが、韓国は日本より1.5倍も大きい3万トン級の軽空母を新しく建造する。韓国が「新南方政策と米国のインド太平洋政策間の調和と協力の推進」を掲げて、実際は米国とともに中国を圧迫できる戦力を備えられるようになったということだ。
キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)