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旧未来統合党、中道保守への“変革”…キム・ジョンイン非常対策委員長就任100日

登録:2020-09-04 09:45 修正:2020-09-04 12:13
[国民の力、非常対策委員長100日記者懇談会] 
 
党内外「中道保守へのリモデリングの成果」 
ベーシックインカムなど進歩の議題を先取りし、 
政治綱領・政策変更、極右勢力との差別化図る 
チョン・ジンソク「危機の党の方向転換を牽引」 
 
今後の課題と限界もくっきり 
革新的な歩み「キム・ジョンイン個人」だけが目立ち 
「党全体と離れた別働隊リーダーシップ」 
選挙結果によって大邱・慶尚北道の主流が反旗の可能性
「国民の力」のキム・ジョンイン非常対策委員長が今月3日午前、ソウル汝矣島の国会で、就任100日目の記者会見を行っている/聯合ニュース

 4月15日の総選挙惨敗直後、野党第一党の救援投手として乗り出した「国民の力」(旧未来統合党)のキム・ジョンイン非常対策委員長が今月3日、就任100日目を迎えた。政綱・政策改正、党名変更、極右勢力との線引きなど、保守革新のための道のりを振り返り「変化と革新のDNAを党に植えつける」と決意をあらわにした。

 キム委員長は同日午前、国会で行われた就任100日記者懇談会で「この100日は変化と革新のエンジンをかけたにすぎない。弱者と同行する政党、国民統合を先導する政党、誰もが共に歩む政党へと体質を改善したい」と述べた。

 6月1日に就任したキム・ジョンイン委員長の100日は、敗北主義に陥った保守野党の変化に向けた議題設定に集中した。キム委員長は就任第一声で「パンを食べる自由」(暮らしの保障)を掲げ、進歩政党のアジェンダだったベーシックインカム(基本所得)を保守政党の代表商品として吸収し、続いて全日制保育支援を掲げ、実用主義政党の面貌を誇示した。また、労働者の権利などを盛り込んだ政綱・政策改正で党の方向性を中道側に転換し、党本部の設置と党名改定で政党運営の基礎を固めた。チュ・ホヨン院内代表はこの日、「軍隊で言えば戦闘態勢を整えたということ。ようやく国民の生活のための政策競争の実力を発揮できる準備を整えた」と語った。

 党内外では概ね好評だ。ある初当選議員は「いわば倒産直前の企業の破産管財人の役割を担ったことになるが、各種の刷新策を通じて国民の信頼を回復し、安定した軌道に乗せたことだけは確かな事実」だとし、「党内ではキム委員長に対する信頼がかなり厚い」と話した。党内最多当選議員のチョン・ジンソク議員は「未来統合党が窮地に追い込まれた状況で生き残るためには、中道への移動が唯一の道だったが、確実にスタンスを取って方向転換を導いた」とし「光州でのひざまずき謝罪も、いま我々がすべきことを正確に認識したもの」と話した。

 しかし、保守の革新が本軌道に乗ったという評価はまだ早い。何よりも大邱(テグ)・慶尚北道を中心とする党内主流勢力が、党の重心を再び右派に戻す可能性がある。慶南研究院のイ・グァンフ研究委員は「『国民の力』の主流は依然として親朴(朴槿恵支持派)に近い。総選挙の惨敗で災難にあった状況では彼らがキム委員長の改革作業を支援するだろうが、補欠選挙などの結果によっては現段階の革新の努力はいつでも後退しうる」と述べた。キム委員長が同日の記者懇談会で、「後退しない変化と革新のDNAを党に確実に植えつける」と述べたのも、100日間の革新の歩みの不完全性を認識しているという意味でもある。

 問題は、こうした「革新のDNA」を植えつける過程で「キム・ジョンインのリーダーシップ」が功を奏するかは疑問だという点だ。時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「保守勢力の深い省察より、キム・ジョンイン個人に注目が集まる方式で革新が行われているようなかたち」だとし「保守の旧態と決別するというイメージを与えるための努力は見えるが、果たして真の変化と見ることができるかは疑問だ」と述べた。外部から輸血された助力者の鮮明なメッセージという「個人技」だけに依存しては、保守勢力全般の変化を引き出すことは難しいという意味だ。

 党内の民主主義に基づいた民主的正当性が脆弱だという弱点も指摘される。イ・グァンフ研究委員は「キム委員長はこれまで党内の有力者を説得して勢力を構築する本来の政治行為の代わりに、横から口を挟んで気に入らなければ去るという助力者の行動を見せてきた。これからは政党民主主義の方式で政治的ビジョンを実行する実行力を立証しなければならない」と指摘した。ある当選3回の議員も「党組織全体を率いるリーダーシップが発揮されなければならないが、非常対策委がまるで委員長の別働隊組織のように別途に動いている現象が続いている。就任から100日が過ぎたが、議員総会など党内の協議構造との有機的な関係が形成されていない」と述べた。

 保守勢力にはっきりした候補が現れない中で、こうした「キム・ジョンインのリーダーシップ」が続けば、今の人材不足は解消されないだろうという見通しも出ている。「ザ・モア」のユン・テゴン政治分析室長は「キム委員長が党改革に専念する管理者なのか、それとも大統領選挙予備候補なのか、不明確な状況が続いている」とし「キム委員長が特有の曖昧さを維持して次期候補のためのスペースを開けない場合、選挙が近づくにつれ『キム・ジョンインのリーダーシップ』の負担がますます大きくなるだろう」と指摘した。

ノ・ヒョンウン、イ・ジュビン、チャン・ナレ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/960675.html韓国語原文入力:2020-09-04 02:42
訳C.M

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