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[ニュース分析]新型コロナの難局の中に立ったイ・ナギョン民主党新代表

登録:2020-08-31 05:37 修正:2020-08-31 06:56
与党の新代表になった大統領候補 
 
任期6カ月で重大な課題を抱え 
多くの人々が「新しいイ・ナギョン」を期待 
 
3人との関係設定が成功のカギ 
与党・政府・大統領府を主導し、時には大統領の牽引を 
イ・ジェミョン知事は「相互補完材」として包容 
“特別な縁”のキム・ジョンイン代表とは協治を
共に民主党のイ・ナギョン党代表候補(当時)が16日午後、ソウル汝矣島にある共に民主党の事務所で開かれた党代表および最高委員候補の全羅道圏・忠清道圏オンライン合同演説会で政見発表をしている/聯合ニュース

 「この苦痛は、さらにより大きくなるでしょう。失業者は増え、皆さんの生活はさらに大変厳しくなるでしょう」

 マスクのためによく見えなかったが、イ・ナギョン代表はこの場面で涙声になった。

 1998年2月25日の大統領就任式で金大中(キム・デジュン)大統領は「私たちは皆は今、汗と涙と苦痛を要求されています」という場面で涙声になった。今、私たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散により、20年前の為替危機に劣らない苦痛を味わっている。

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の初代首相を務めたイ・ナギョン議員が8月29日、共に民主党の全党大会で60.77%を得票し、代表に選出された。最高委員には、キム・ジョンミン議員、ヨム・テヨン水原(スウォン)市長、ノ・ウンレ議員、シン・ドングン議員、ヤン・ヒャンジャ議員(得票率順)が選ばれた。

 次期大統領候補であるイ・ナギョン代表は、党憲と党規に従い、来年3月9日以前に代表を辞任するものとみられる。代表の任期は約6カ月ということだ。今のイ・ナギョン代表に最も必要なのは、高度の集中力だ。

 イ・ナギョン代表は自身の課題を「国民と党員の5大命令」にまとめた。新型コロナ戦争の勝利、新型コロナ民生対策、ポストコロナの未来への準備、統合の政治、革新の加速化だ。最初の三つは政策的課題、残り二つは政治的課題に近い。

 このような途方もない課題を、6カ月という短期間で果たして達成することが可能だろうか?しなければならない。彼は単なる代表ではなく「大統領候補代表」だからだ。

 「大統領候補代表」として成功するには、イ・ナギョン代表には3人との関係設定が重要だ。

 1人目は、文在寅大統領だ。

 任期後半の現職大統領と与党の大統領候補の関係は、複雑で微妙だ。

 1992年の盧泰愚(ノ・テウ)大統領と金泳三(キム・ヨンサム)候補、1997年の金泳三大統領とイ・フェチャン候補、2007年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領とチョン・ドンヨン候補の関係は極めて悪かった。与党の大統領候補が大統領を批判し差別化した。

 2002年の金大中大統領と盧武鉉候補の関係は良かった。 盧武鉉候補は金大中大統領を一度も批判しなかった。それでも大統領選挙で勝った。

 イ・ナギョン代表はどうするのだろうか。金大中大統領と盧武鉉候補の前例に従うようだ。イ・ナギョン代表は信義を重視する人だ。

 イ・ナギョン代表は当選直後のインタビューで「自宅隔離中は誰のことを考えていたのか」という質問を受けた。「大統領について考えることが一番多かった。民生の苦痛を知っているはずなので、どう考えているのかよく想像した」と語った。二人の関係は最上のようだ。しかし、最上の関係が最善ではない場合もある。大統領と与党代表は上下関係ではないからだ。

 イ・ナギョン代表は選挙戦期間のインタビューで「普段はとても慎重な様子で、じれったいという印象を与える」という質問に「首相は第二人者だが党代表は第一人者だ。(党代表になれば)新しいイ・ナギョンを見ることになるだろう」と答えた。

 多くの人が「新しいイ・ナギョン」を期待している。党・政府・大統領府で確実に主導権を行使しなければならない。時には、文在寅大統領と大統領府を牽引しなければならない。

 2人目は、イ・ジェミョン京畿道知事だ。

 二人は大きく異なる。スタイルや出身地域はほとんど重ならない。政策路線も時には衝突する。だからこそ関係設定が重要だ。二人の激しい競争は、共に民主党の領域を広げることができる。相互補完材という意味だ。2007年の大統領選挙を前にしたハンナラ党の李明博元大統領と朴槿恵元大統領がそのような関係だった。“二台の機関車”のおかげで、ハンナラ党は10年間政権を担った。

 イ・ジェミョン知事は「イ代表の豊かな政治・行政経験と安定と統合のリーダーシップにより、国民に信頼を与える度量が大きな与党と共に、文在寅政権の成功を導いていただけると期待します」と祝った。イ・ナギョン代表はイ・ジェミョン知事を牽制してはいけない。包容しなければならない。

 3人目は、未来統合党のキム・ジョンイン非常対策委院長だ。

 二人の最初の縁は、民正党の国会議員と東亜日報の記者だった。キム・ジョンイン議員がイ・ナギョン記者に特ダネを与えた。二人は友好的関係を続けた。COVID-19事態の克服のために、与野党の関係修復が差し迫った時期に、与野党の代表として会った。運命ともいえる。

 未来統合党のチュ・ホヨン院内代表が「“176議席政党”の横暴は、この程度で中断してほしい」と要請した。対話の要求だ。イ・ナギョン代表は受け入れなければならない。

 今は「イ・ナギョンの時間」だ。国会議員、全羅南道知事、首相として築いた実力を最大限発揮しなければならない。それでこそ、文在寅政権を活かし、民主党を活かし、大韓民国を活かし、イ・ナギョン代表自身は大統領になることができる。

ソン・ハニョン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/959962.html韓国語原文入力:2020-08-31 02:11
訳M.S

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