23日、医学部定員拡大などに反発する専攻医の集団休診が3日目となり、大病院の診療の空白に対する懸念が徐々に現実化している。ソウルの5大病院の一つである延世大学セブランス病院は、人手不足などを理由として、救急室経由の重症患者は受け入れない予定だ。他の大病院でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査業務の一部が止まったり、手術、外来、検診の日程などに支障が生じたりしており、患者たちの不安も高まっている。続いて専任医、勤務医、開業医まで集団休診に順次加勢して行けば、3~4日後からは医療空白問題がより顕著となり得る。
今月21日のインターンとレジデント4年目、22日のレジデント3年目に続き、23日には1~2年目のレジデントも集団休診に突入した。これに先立ち、大韓医師協会(医協)は「団体行動はするにしても、不可欠な人材は残す」としていたが、一部の病院では救急室や集中治療室で働く人材も残さず、専攻医全員が診療現場から出て行った。このためセブランス病院は「救急室を経由した重症患者は当分のあいだ受け入れない」と内部に告知した。セブランス病院の関係者は「あらかじめ計画されていた集中治療室の設備の定期点検に、専攻医のストまで重なったため」と説明した。ソウル聖母病院は21日から、人手不足で新型コロナ検査の単純希望者に対しては検査業務を行っていない。
外来、検診、手術の日程などにも支障が生じている。がん患者のコミュニティでは「すぐには医療の大混乱は起きないというが、誰かが死んではじめて大混乱というつもりなのか」「なぜ罪のない患者の命を利用するのか」という声が高まっている。ネイバーのある患者の会のコミュニティでは、あるユーザーが「家族はすい臓がんのステージ4だが、最後にできることを探したくて峨山病院に連絡したところ、どこの病院もストライキ中なので9月中旬以降になるという。家族全員がどうしたらよいか分からず、たいへん悔しい思いをしている」と述べた。親が大腸がんを患っているという別のユーザーも「もともとは来週が手術だったが、専攻医のストで再来週に延期になった」とし「話にならない。待たされる患者がどれほど焦る気持ちなのかわからないのか」と書き込んだ。
24日から専任医の集団休診が順次拡大することに加え、開業医を含む全国の医師も今月7日に続いて26~28日に再び全員の休診を予告していることから、診療の空白は26~28日に最も大きくなりそうだ。ソウルのある上級総合病院の関係者は「先行する専攻医の集団休診時には空白を埋めた専任医(フェロー)にまで休診されると、新規患者をまったく受け入れられない可能性がある」と話している。医協は23日、「2回目の全面ストライキの後にも政府の態度に変化がなければ、3回目の全国の医師の全面ストライキを決行する」と明らかにした。
チョン・セギュン首相は23日夜、大韓専攻医協議会の代表団と面談し、診療現場への復帰を訴えた。この日の面談は、医協側が首相と与野党の代表に緊急懇談会を提案したことで実現した。前日のパク・ヌンフ保健福祉部長官による「新型コロナ安定化まで政策を保留するから、集団休診をいったん止めてほしい」という提案は、「政治的修辞の繰り返し」と拒否し、対話の相手を政界などへと広げている格好だ。専攻医協議会に続き、医協も24日午後にチョン首相と面談し、政府に政策撤回を求める予定だ。医協のキム・デハ報道担当は「医学部定員拡大を総選挙公約に掲げた与党などと対話する必要性があるとともに、福祉部との協議は膠着状態に陥っていることから、首相や野党に仲裁を求めるという意味もある」と述べた。