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契約形式上は「社長」の宅配労働者、28年目にして初の公式休業日

登録:2020-08-13 10:41 修正:2020-08-13 12:03
事実上は事業主に従属して働くが、 
個人事業主なので週52時間労働が適用されず 
今年上半期だけで7人が過労死 
「一過性ではない休息権保障の制度化を」
7月9日午前、ソウル鍾路区光化門広場で開かれた記者会見「8月14日を宅配便のない日に指定せよ!」で、参加者たちが宅配便労働者に休暇チケットを渡すパフォーマンスを行っている=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 CJ大韓通運、韓進、ロッテ、ローゼンなど主な宅配会社と郵便局が、韓国で宅配産業を開始して以来28年、初めて公式の休業日(8月14日)を宣言した。その背景には「深刻な段階」に達している宅配労働者の過労・過労死の問題がある。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による「非対面消費」の増加で宅配業者は活況を呈しているが、宅配業者代理店と請負・委託などの契約関係を結んで労働時間の制限なく働く宅配業者は、今年上半期だけですでに7人が過労死した。

 代表的な特殊形態労働従事者(特雇労働者)である宅配労働者の休暇を求める声は、2017年1月に民主労総サービス連盟・全国宅配連帯労組が発足して以来、本格的に提起されてきた。事実上は事業主に従属して労働を提供するが、契約の形式上「社長」(個人事業主)である宅配労働者は、週52時間制などの労働基準法の適用を受けることができない。しかも、配達した分だけ受け取る手数料は十数年間据え置かれているため、長時間労働に追い込まれている。2018年の韓国交通研究院による「宅配サービス産業の雇用実態調査分析」によると、宅配労働者が1日平均12.7時間、月平均25.6日働くことが明らかとなっている。

 特にCOVID-19が広がった今年上半期には宅配量が急増し、宅配労働者の過労・過労死も深刻になった。基本所得党のヨン・ヘイン議員室が12日、韓国産業安全保健公団から入手した資料「宅配業の労働災害の現状」によると、2012年から今年6月までに業務関連で死亡した宅配労働者は計27人(事故9人、疾病18人)だが、このうち30%以上(9人)が今年上半期に死亡している。特に、このうち業務上疾病で死亡した7人は全員過労による脳・心血管系疾患だった。

 宅配労働者の8月の休暇は2014年にはKGB宅配で、昨年にはCJ大韓通運などでまれに実現してもいる。だが、これは一過性のものであったり、会社の“黙認”によるもので、宅配労働者全体が実質的な休息を取るまでには至らなかった。今年は14日から17日まで最長4日間休むことができるが、これは労組の公式な要請を韓国統合物流協会が7月18日に受け入れたことで実現した。

 宅配労働者はこのような休息が「イベント」にとどまってはならないと指摘する。休息権の保障を制度化しなければ、過労・過労死問題は解決できないという主張だ。民主労総サービス連盟全国宅配連帯労組のキム・セギュ教育宣伝局長は「短期的にはCOVID-19の拡散が終わるまでだけでも1日6~7時間かかる分類作業を代わりに行う代替要員を投入し、業者が当日配送を強要させないようにしなければならない。宅配労働者の休息権を保証するため、長期的には週休2日制の施行と公休日の拡大が必要だ」と述べた。

 一方、京東、大信宅配などの中小宅配会社や、クーパン、SSGドットコム、マーケットカーリーなどの独自配送網を持つ電子商取引業者は、14日にも通常配送を行う。電子商取引業者の配送担当者は特雇労働者の身分ではなく、元請または請負会社と勤労契約を結んだ労働者であるため法定労働時間などを順守している、と業界は説明している。

ソン・ダムン、シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/957598.html韓国語原文入力:2020-08-13 08:57
訳C.M

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