対北朝鮮先制攻撃のための「敵基地攻撃能力」の確保迫る
自民党「相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力を保有すべき」
これまで維持してきた「先制攻撃制限」を解くよう提言
韓国国防部「日本、専守防衛を堅持している」原則的対応にとどまる
日本の“誤判断”によっては朝鮮半島全域が戦争危機に陥る可能性も
韓国の同意なしに武力介入しないよう、戦略対話を始めるべき
日本が北朝鮮、中国など周辺国のミサイル基地などを直接攻撃できる「敵基地攻撃能力」を保有する方針を事実上固めたことで、この決定が今後の朝鮮半島を含む東アジア情勢に及ぼす影響に注目が集まっている。日本の“誤判断”や“過剰対応”で朝鮮半島が戦争の危機に陥る可能性があるだけに、両国の国防当局間の意思疎通を強化する必要性が高まった。
河野太郎防衛相は4日の定例記者会見で、日本の敵基地攻撃能力の保有と関連し、非常に注目すべき発言を残した。日本が憲法などの制約からこれまで保有しなかったこの能力を保有するには「周辺国の理解が重要になってくる」という記者の質問に対し、「中国がミサイルを増強しているときに、何でその了解がいるのか」、「わが国の領土を防衛するのに、何で韓国の了解が必要なのか」と答えたのだ。
にもかかわらず、韓国政府はこの3日間、明確な立場表明もなく、原則的な立場のみを繰り返してきた。国防部は発言内容が伝えられた5日、「日本防衛相の発言には論評する価値がない」とし、「朝鮮半島有事の対応は韓米同盟が中心になって行わなければならないというのが韓国政府の一貫した立場」だと答えており、6日の定例記者会見でも「国防当局間で外交的な措置を取っているのか」という質問に対し、「別途に政府が措置を取ったことはない。ただし、日本は平和憲法に基づいて専守防衛の基本概念を堅持していると了解している」と述べた。外交部のキム・インチョル報道官も同日の定例記者会見で、「国防部がわが政府の一貫した立場だと説明した事項があった」とし、即答を避けた。
しかし、日本の敵基地攻撃能力の保有は、もはや避けて通れない“既定の事実”となっている。自民党政務調査会(政調会)が4日午前、「相手領域(領土)内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含め、抑止力を向上させるための新たな取り組みが必要」という内容を政府に提言したことを受け、安倍晋三首相は「国家安全保障会議(日本のNSC)で徹底的に議論する。助言を受け入れ、しっかりと新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく」と答えた。日本のマスコミは12月、日本の安保戦略の大枠を決める「国家安全保障戦略」とその具体的な計画である「防衛計画の大綱」や「中期防衛力整備計画」などを改定する際、関連内容が盛り込まれるとの見通しを示した。
日本が今回、戦後75年間維持してきた「専守防衛」原則を明らかに越える決定を下したのは、「日本は防御に重点を置き、攻撃は米国が行う」という既存の日米同盟の枠を超えなければならないほど、北朝鮮や中国、ロシアなどによるミサイルの脅威が大きくなったと判断したためとみられる。実際、自民党の提案書によると、日本が敵基地攻撃能力を持たなければならない理由として、「中国やロシアなどは極超音速滑空兵器の開発を進めており、北朝鮮も低空、かつ、変則的な軌道で飛翔可能と見られるミサイル発射実験を進めている」と明示した。
この事案に対する韓国の譲れない立場は「朝鮮半島での軍事行動は、大韓民国だけが決定でき、誰も大韓民国の同意なしに軍事行動を決定できない」とした、文在寅大統領の2017年8.15記念式典での演説だけだ。このためには、軍事当局間の緊密な意思疎通と信頼構築が何よりも重要だが、2018年10月の韓国最高裁(大法院)の判決とその直後に発生した日本の哨戒機による威嚇飛行問題で、両国軍当局の間に溝が深まっている。慶南大学極東問題研究所のチョ・ジング教授は「このような時こそ、変化する国際情勢と国家戦略の核心に関して、韓日両国の外交・防衛相が参加する2+2形態の戦略対話を始める必要がある」と述べた。