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ビーガン副長官、南北協力支持のメッセージは出したが、朝鮮半島情勢管理レベルの訪問

登録:2020-07-10 05:59 修正:2020-07-10 07:27
ビーガン副長官、2泊3日の訪韓日程終了 
専門家ら「南北関係の改善には不十分」
ソ・フン国家安保室長(右)が今月9日、大統領府の貴賓接見室でスティーブン・ビーガン米国務副長官と面会し、記念撮影を行っている=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 「南北協力を支持すると言ったものの、北朝鮮を動かすだけの具体的な内容はなかった」(元政府高官)

 「北朝鮮の開城(ケソン)南北共同連絡事務所爆破などで最近不安定になっている朝鮮半島情勢を管理するための訪問だった」(キム・ジュンヒョン国立外交院長)

 9日、スティーブン・ビーガン米国務副長官兼対北朝鮮政策特別代表が、2泊3日間の訪韓日程をすべて終え、次の訪問先の日本に向けて出発した。ビーガン副長官は今回の訪韓を機に、「南北協力を強く支持する」という融和的なメッセージを発表したが、南北協力に関する具体的な内容が盛り込まれておらず、朝米対話の扉を開いたり、南北関係の改善を進めるには不十分だったと指摘されている。

 専門家らは、ビーガン副長官が今回の訪韓で北朝鮮の完全な非核化に関する言及を控える一方、「南北協力」に対する支持を表明したことを評価しながらも、結果的には不安定な情勢管理レベルの訪問それ以上でも以下でもなかったと見ている。ビーガン副長官が8日の記者会見で発表した内容には、韓国政府が推進しようとしている南北協力事業や北朝鮮が要求する経済制裁の緩和に関する具体的な内容が含まれていなかったからだ。元政府高官は「実際履行できる内容があれば、朝米であれ、南北であれ会うことができる」とし「ビーガン副長官は既存の立場を繰り返したものと見られる」と述べた。

 11月の米大統領選挙前に第3回朝米首脳会談が開かれる可能性も、現在としては低い状況だ。北朝鮮としては、ドナルド・トランプ大統領が再選するかどうかが不確実な状況で、中途半端に交渉を続けることは難しい。トランプ政府も、大統領選挙前に北朝鮮への制裁緩和などの譲歩をするよりも、選挙に悪影響を及ぼす北朝鮮の挑発を阻止し、現状維持を図る可能性が高い。北韓大学院大学のキム・ジョン教授は「再選が確実になるまで北朝鮮は動かないだろう」とし「トランプ大統領が再選されれば再び“トップダウン”方式で問題を解決しようとするだろうが、(情勢が)民主党側に傾けば大きな挑発をする可能性もある」と見通した。

 ビーガン副長官は今回の訪韓で、対米交渉で強硬な立場を示している北朝鮮のチェ・ソンヒ第1外務次官を「昔の考え方に閉じ込められている」と批判し、金正恩(キム・ジョンウン)委員長に迂回的に新しい交渉相手を任命してほしいというメッセージを送った。しかし、北朝鮮が実際対米交渉責任者を変える可能性は低そうだ。元政府高官は「米国ができる行動を具体的に明らかにした後ならともかく、何の理由もなく対米交渉責任者を変えるとは思えない」と述べた。

 ビーガン副長官は訪韓最終日午前、大統領府でソ・フン新任国家安保室長に会い、1時間10分間面会した。両者は、朝米対話の再開に努め、韓米防衛費分担金交渉を早期に終わらせることで意見が一致した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は同日午前、京畿道利川(イチョン)のSKハイニックスを訪れ、ビーガン代表との面会は実現しなかった。

ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/952967.html韓国語原文入力:2020-07-09 22:02
訳H.J

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