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最高裁「チェ・スンシル氏の86億ウォンは継承協力の対価」…苦しくなったイ副会長

登録:2020-06-12 06:40 修正:2020-06-12 08:12
チェ・ソウォン(チェ・スンシル)氏の再上告審、懲役18年、罰金200億ウォン 
「イ副会長が渡した賄賂は継承作業の協力の対価」
経営権の違法継承疑惑をかけられているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長が8日、瑞草区のソウル中央地裁で開かれた拘束前被疑者審問(令状実質審査)を終えた後、法廷を出ている//ハンギョレ新聞社

 最高裁が再上告審で朴槿恵(パク・クネ)政権の「影の実力者」だったチェ・ソウォン(改名前チェ・スンシル)氏の量刑を原審の内容で確定したことで、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が「継承作業の協力」を対価に賄賂を渡したと認めた最高裁の判断が法的に「確定」された。検察の「違法継承」疑惑の捜査において、相変わらず「継承作業は実務陣が処理したこと」だという趣旨の弁論を繰り広げているイ副会長側の主張は苦しくなったという分析が出ている。

 最高裁2部(主審アン・チョルサン最高裁判事)は11日、チェ氏の量刑を懲役18年、罰金200億ウォン(約18億円)、追徴金約63億ウォン(約5億6000万円)で確定した。チェ氏は朴槿恵前大統領と共謀し、イ副会長から「継承作業を助けて欲しい」という不正な請託を受け、その対価として娘のチョン・ユラ氏の乗馬用の馬3頭の購入代金(34億1797万ウォン、約3億円)や姪のチャン・シホ氏が運営する冬季スポーツ英才センターの後援金(16億2800万ウォン、約1億4000万円)など、約86億ウォン(約7億6000万円)の賄賂を得たり供与させた容疑をかけられている。最高裁がこれを再確認し、イ副会長が「継承作業協力」の対価として賄賂を渡した事実関係も法的に確定したわけだ。

 昨年8月のチェ氏の事件の上告審の判決文によると、最高裁の全員合議体は、サムスングループの「継承作業」を「最小の費用による、サムスングループの主要な系列会社であるサムスン電子とサムスン生命に対するイ・ジェヨンの支配権の強化」と定義し、「未来戦略室を中心にサムスングループのレベルで組織的な継承作業が進行」されたと明確に判示した。また、イ副会長を強要罪の被害者ではなく、「大統領の賄賂の要求に便乗し、職務に関連した利益を得るために職務行為を買収しようとする意思で積極的に賄賂を提供した者」だと判示した。その際、不正な請託の媒介になった代表的な継承作業が「サムスン物産と第一毛織の合併」だった。

 しかし、「経営権違法継承疑惑」で捜査を受けているイ副会長の弁護団は、意図的な違法継承作業はなかったと主張している。弁護団は8日にソウル中央地裁で開かれた令状実質審査で「継承作業は朴槿恵政権の経済民主化規制を避けるための『付随効果』に過ぎない」と主張した。また、検察が確保した継承作業の文書である「プロジェクトG」とサムスン物産・第一毛織の合併関連の報告文書も「イ副会長は知らなかったし、未来戦略室の実務陣が勝手に行ったこと」だと主張している。

 ある検事長出身の弁護士は「『継承作業』のためにイ副会長が積極的にチェ氏に賄賂を渡したというのが最高裁の結論なのに、これに『イ副会長は知らなかった』とか『大したことではなかった』と主張するのは、事実上、最高裁の判決に逆らうこと」だとし、「イ副会長の立場としては、『継承作業』の存在を認める瞬間、自身が構築してきた防御論理が崩れる状況なので、『知らぬふり』戦略を取ることにしたようだ」と指摘した。

イム・ジェウ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/948935.html韓国語原文入力:2020-06-11 17:46
訳M.S

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