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[社説] 児童虐待は家庭内の問題ではなく残酷な犯罪だ

登録:2014-04-11 22:31 修正:2014-04-11 23:09

 慶北(キョンブク)漆谷(チルゴク)で養女を殴って死なせた母親と、娘を虐待した実父に対し11日、それぞれ懲役10年と懲役3年が宣告された。蔚山(ウルサン)でも同じ容疑を受けた継母に懲役15年が宣告された。両事件は保護能力がない子供に加えられた持続的な虐待と暴力の結果であった。その残酷さと非人間性に驚愕すると共に憤りを感じずにいられない。厳罰に処すとともに、なぜこのようなことが絶えないのか、どうすれば児童虐待を根絶できるかを真剣に考えねばならない時だ。

 漆谷の悲劇を防ぐ機会は何度もあったという。担任の教師は犠牲になった子供とその姉の身体に残された傷を見ずに保健福祉コールセンターに虐待申告をし、児童保護専門機関は両親を相手に調査を行った。亡くなった子供の姉は警察に直接申告したともいう。そのたびに加害者である両親の釈明がそのまま受け入れられたり、おびえた子供が正直に言わなかったために問題にされなかったという。8才の子供の死を悪い両親のせいだけにはできない。

 虐待を受けた子供は自分が安全だと感じるまでは正しい陳述をできないという。虐待事実の確認と保護、隔離を急がなければならないわけだ。もともと現実は劣悪なことこの上ない。児童虐待の申告件数は2010年9199件から2013年には1万3706件に急増し、応急的な対応をすべき児童保護専門機関は全国に50ヶ所のみだ。地域によっては申告を受けてすぐに向かっても半日かかる。申告件数の大半は児童虐待と判断されるが、児童を緊急に隔離・保護する施設や専門相談者は圧倒的に不足している。親権と養育権によって3日間のショートステイさせるのがやっとだ。保護し続けるには地方自治体の首長に長期保護を要請しなければならない。児童虐待を防ぐ社会安全網を整備しようとするならば、施設・人材のインフラ拡充と制度補完が急務だ。政府や政党は遅きに失したといえ関連予算の配分や市・郡別の児童保護専門機関設置などを推進することを、とりあえずは決めた。後悔先に立たずだ。

 児童虐待は法と制度がないために増えるものではない。両親が子供を思いのままにしてもかまわない所有物と考える前近代的な考え方や、体罰を訓育の手段として容認する風土が変わらなければなくならない。統計を見れば児童虐待の87%は家庭で発生しており、84%は親によって行われているという。これほどまでに広がった児童虐待により、多い場合は一年で10人を越える子供が亡くなっている。児童虐待は‘ひとの家の問題’や‘継母の悪行’ではなく、残酷な犯罪だという認識が定着しない限り、今回と同様の悲劇は繰り返されざるをえない。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/632331.html 韓国語原文入力:2014/04/11 19:03
訳T.W(1228字)