「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は本日、現在、疾病管理本部の所属機関である国立保健研究院と感染症研究センターが拡大改編される感染症研究所を保健福祉部傘下に移管する案に対し、これを全面的に再検討するよう指示した」
5日午後12時、カン・ミンソク大統領府報道官はブリーフィングでこのように述べた。大統領府担当記者たちにブリーフィング開催を伝える告知は、わずか12分前とぎりぎりに伝達された。すでに90分前に文大統領の私邸用地購入に関するブリーフィングがあったところだった。それだけ「緊急の決定」だったという意味であると同時に、文大統領がこの事案を重要視しているというメッセージだ。なぜなら、政府が2日前に発表した疾病管理本部(疾本)の組織再編案を全面的に覆す内容だからだ。
経緯はこうだ。行政安全部は3日、疾本を「庁」に格上げすることを発表したが、同時に疾本の核となる研究機関である国立保健研究院と感染症研究センターを保健福祉部に移管することを明らかにした。すぐに批判が沸騰した。一部メディアは疾病管理「庁」になれば、むしろ人員が746人(現在は907人)に減り、予算も8171億ウォン(約739億円)から6689億ウォン(約605億円)に減るとし、「うわべだけの昇格」と集中的に提起した。疾本のチョン・ウンギョン本部長も4日に「疾病管理庁でも、疫学調査や感染症の予防・根絶に関する政策の開発や研究をする組織と人材を拡充すべきだ」との考えを示した。
すると、5日午前に大統領府で開かれた懸案点検会議では、これについて討論が行われたという。大統領府の幹部級関係者は「感染症研究所はウイルス研究全体を統合し、これを産業とも連携させるという狙いがあった。そのためにはこれを福祉部に移管するのが妥当だという判断だったが、その後専門家やメディアの意見があり、これを総合的に大統領が熟考した結果、全面的な見直しが必要だという政策的判断を下した」と説明した。研究力の強化が必要だというチョン本部長の意見を後押ししたのだ。この関係者は「疾本の感染症への対応力を強化しなければならないという当初の趣旨に合うよう、十分な組織補強と協業体系を構築する方向で結論が出るだろう」と述べた。
疾本国立保健研究院のクォン・ジュヌク院長(中央防疫対策本部副本部長)はこの日午後の定例ブリーフィングで「基本的に疾病管理庁の専門性と独立性を強化する方向で、国立保健研究院と感染症研究センターの移管案の是非について追加検討の必要性が提起されたものと把握している」とし、国立保健研究院の役割が増大するよう意見を提示すると述べた。
疾本の組織再編問題が振り出しに戻ったことから、国立保健研究院をそのまま疾本の傘下に置き、研究院の感染症研究センターを国立感染症研究所に拡大再編する方向で議論が展開されるものと予想される。過去に疾病管理本部長を務めた翰林大医学部のチョン・ギソク教授(呼吸器内科)は「感染症への対応を適切に行うためには、最前線の市郡区の保健所の防疫人員を今のような地方自治体の指揮下ではなく、疾病管理庁の指揮権の下に置くことも必要だ」と述べた。