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済州に続き光州でも発達障害者の家族「心中」、その背景は

登録:2020-06-06 00:59 修正:2020-06-06 07:08
コロナで介護事業が縮小や中止 
家庭で直接世話するようになって苦痛訴え 
障害父母連帯、大統領府の掲示板に書き込み 
「1:1支援、生涯教育体系を」
昨年3月21日、ソウルの光化門広場で全国障害者父母連帯の会員らが「発達障害国家責任制」の導入を求めている//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって各種の介護事業が中止または縮小された中、今年3月の済州に続き、最近光州(クァンジュ)でも発達障害の家族が苦痛を訴えて心中をしたことが明らかになった。

 5日の警察などの説明によると、今月3日午前10時ごろ、光州広域市光山区林谷洞(クァンサング・イムゴクドン)の道路に駐車していた車から、Aさん(59、女)と息子のBさん(24)が死亡しているのを通行人が発見し、警察に通報した。警察は車の中から(ソウルに別居する)「娘に申し訳ない」という内容の遺書が見つかったことなどから、Aさん親子が心中を図ったものとみている。Aさんは数年前に夫と離婚後、発達障害を抱えるBさんと暮らしてきた。昨年まではデイケアセンターにBさんを預けていたが、COVID-19の影響で2月から光州地域の福祉施設が全面的に閉鎖され、自宅で息子の世話をしていたという。

 Aさんは成人したBさんを家庭で世話することに限界を感じ、今年2月から精神病院に3カ月あまり入院させた。しかしBさんが病院に適応できず体重が10キロ以上減り、罪悪感を感じたAさんは先月25日に息子を退院させた。その後、息子の世話をする福祉施設を調べたものの適当な場所が見つからず、息子が出す騒音などによって隣人から頻繁に抗議を受けるようになったAさんは、周囲に「成人になった息子の面倒を見るのは大変だ」と吐露していたという。

 3月17日には済州道西帰浦市(ソグィポシ)でも、女性(49)が発達障害の高校生の息子(18)とともに車の中で遺体で発見されている。この女性もCOVID-19の影響で特殊学校の始業が延期され、障害者福祉施設がすべて閉鎖されると、家で息子の世話をしていた。

 全国障害者父母連帯光州支部は5日、大統領府の国民請願掲示板に「発達障害者青年とその母の死について大統領、お答えください」という請願文をアップした。同支部は請願文で「成人になった発達障害者は、親が面倒を見なければ精神病院やホームレス施設を転々とする。ついには子どもと自殺に追い込まれる発達障害者の親を無視しないでほしい」と訴え、重度発達障害者の日中活動の1:1支援▽日中活動時間の拡大▽障害者家族のための障害者家族支援体系と発達障害者の生涯教育支援体系の構築、などを求めた。保健福祉部の「2019年障害者登録現況」によると、全国の発達障害者(知的+自閉性)はおよそ24万人にのぼる。

 正義党光州市党も声明を発表し「2014年に『発達障害者法』が制定されたにもかかわらず、依然として発達障害者に対する責任は親に押し付けられている。政府と自治体は発達障害者の家族の負担を軽減する対策を立てなければならない」と述べた。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/honam/948095.html韓国語原文入力:2020-06-05 14:50
訳D.K

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