政府は、議論を呼んでいる「遠隔医療」を全面化する代わりに、これまで推進してきた事業に「非対面医療」を用いる程度の折衷案を選択した。大韓医師協会と保健医療団体の激しい反発は避けつつも「遠隔医療」に向かう可能性は残したと解釈される。
政府が1日に発表した「下半期経済政策の方向性」で、遠隔医療に関する事業計画は「非対面産業の育成」という項目に記されている。内容は大きく分けて4つだ。まず、感染症に備えて呼吸器専門クリニック1000カ所を2021年までに設置する。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散によって呼吸器患者が一般病院に行きづらくなっているため、選別診療所のように保健所や図書館などに別途に空間を設けたり、既存の医療機関を呼吸器専門クリニックに指定して運営する計画だ。
専門クリニックでは、現行の医療法で禁止されている電話による相談と処方も可能とする。すでに今年2月から、COVID-19への感染を防ぐため、高血圧や糖尿病の患者には医療陣との電話相談のみで処方箋の発給が期限付きで認められている。現在は電子メール、ファックスなどを通して処方箋を受け取る方式だが、これからは非対面診療を支える技術インフラを構築することになると見られる。中央災害安全対策本部は先月4日、呼吸器専門クリニック設置計画を発表した席で「もう少し詳細な計画は医療界と協議する」と明らかにしている。
また13万人の健康脆弱階層を対象として、保健所が生活習慣の改善などに役立つモバイルヘルスケアを提供するとともに、軽症慢性疾患者17万人に、身につけるデジタル機器(ウェアラブル機器)を普及させ、町の医院が健康を管理する体系を整える計画だ。2018年末から町の医院が高血圧や糖尿などの慢性疾患を管理するモデル事業を行っているが、これにウェアラブル機器を追加したかたちだ。
脆弱高齢層12万人を対象として、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)を基盤として用いた、脈拍や血糖を感知する統合ケアモデル事業も2022年まで推進する。「健康と代案」のピョン・ヘジン常任研究委員は「あくまでも医療陣との対面診療を補完する『非対面診療』であるべき。ウェアラブルを通じた健康情報収集も脆弱階層に対する人権侵害にならないように気をつけなければならない」と指摘した。