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デジタル・非対面・SOC…「韓国版ニューディール」の主軸

登録:2020-05-08 07:27 修正:2020-05-08 08:56
韓国政府、3大プロジェクトを発表 
デジタルインフラ構築し 
非対面産業を集中育成 
遠隔医療には慎重な態度を示す 
来月、具体案を発表する予定
ホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官(右から2番目)が今月7日午前、ソウル世宗路にある政府ソウル庁舎で「第2回非常経済中央対策本部会議」を主宰している//ハンギョレ新聞社

 韓国政府は7日、人工知能(AI)基盤の遠隔教育と医療データの活用、非対面医療モデル事業の拡大など、いわゆる「韓国版ニューディール」の3大プロジェクトと10大重点課題を発表した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態で非対面、デジタル中心に急激に変化する社会・経済変化に合わせ、経済革新と雇用創出を図る計画だ。ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官は7日、第2次非常経済中央対策本部会議で韓国版ニューディールについて「デジタル基盤プロジェクトに集中し、民間投資と相乗効果が大きく、経済全領域の生産性・競争力の向上に直結するインパクトのある大規模革新プロジェクト」だとし、「今後2~3年間集中的に推進される」と説明した。

 具体的には、革新成長のためのデジタルインフラの構築のため、公共や金融、医療などの主要分野のデータ開放を拡大するなど、データ収集から活用に至るまで全周期のデータインフラを強化する。交通ビッグデータ・プラットフォームの構築など金融や医療、交通、公共、産業、小商工人の6分野のデータ収集・活用も拡大する。

 非対面産業の育成としては、AI基盤の遠隔教育支援プラットフォームを作り、保健所のモバイルヘルスケア、画像連携訪問健康管理など、従来の非対面医療モデル事業やCOVID-19で期限付きで導入したモデル事業を拡大する計画だ。さらに、道路や鉄道などの老朽化した施設にスマート管理システムを導入することで、安全性を高め、社会間接資本関連データの収集や加工、共有を拡大する計画だ。

 このうち、医療データなど個人情報の公開拡大や非対面産業を育成するための非対面医療モデル事業の拡大は、遠隔医療と関連しており、関連市民団体の反対が予想される。企画財政部のキム・ヨンボム第1次官は同日のブリーフィングで「遠隔医療の制度化は十分な時間をかけて社会的議論を経て、さまざまな補完装置とともに検討されるべき課題だ」とし、慎重な態度を示した。

 財政投資も共に行われる。キム・ヨンボム第1次官は「大規模な財政投資とともに制度改善も並行推進し、革新を通じた融合・複合産業の活性化と雇用創出の好循環構造を早期に構築する」と述べた。

 しかし、政府が発表した「韓国版ニューディール」には革新成長に関する内容があるだけで、政府が推進する経済成長のもう一つの軸である「包容成長」に関する内容がないという指摘もある。イ・ウジン高麗大学教授(経済学)は「米国で推進したニューディールには大規模な財政投入を通じた景気浮揚だけでなく、不安定なセーフティネットを確保し、労働条件を改善するなどの内容も含まれていた」とし、「韓国版ニューディールは、これまで推進してきたいわゆる『第4次産業革命』にあった政策だけを繰り返しているだけで、社会的危機に共に対処していく内容は盛り込まれていない」と述べた。イ・チャンミン漢陽大学教授(経済学)は「プラットフォーム産業の特性上、大企業が容易に市場支配力を拡張できる側面がある」とし、「事業者の選定などに注意しなければならない」と述べた。政府が強調してきたエネルギー転換や気候変動などに関する内容がないという声も上がっている。

 これについてキム・ヨンボム第1次官は「韓国版ニューディールを進める過程で、(COVID-199事態以後)回復をしても以前の段階への回復にとどまらず、危機克服の過程で死角地帯や貧困や両極化が繰り返されないよう包容的回復を重要な原則の一つに立てた」と述べた。

イ・ジョンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/944093.html韓国語原文入力:2020-05-08 02:44
訳H.J

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