政府と大統領府が一斉に、非対面医療(遠隔医療)の導入を積極的に検討する必要があると発表した。これまで賛否両論が激しく対立し、妥協点を見出せていなかった遠隔医療問題を、コロナ禍を契機に本格的に世論化するという意志と解釈される。
チョン・セギュン首相は14日、「日常化した防疫の時代には、非対面診療の拡大や遠隔モニタリングサービスの発掘など、保健医療対策の果敢な重心移動が必要だ」と述べた。チョン首相はこの日、防疫・保健専門家らとの政策懇談会で「公共保健医療システムの強化や医療格差の解消などの政策課題に革新的な発想の大転換が求められる」とし「国内の医療・バイオ産業分野にも先端情報通信技術(ICT)と第4次産業革命技術を用い、スマート・非対面産業を世界最高水準に育成するとともに、防疫・保健システムを一段階跳躍させなければならない」と強調した。
企画財政部のキム・ヨンボム第1次官もこの日、第3回非常経済中央対策本部会議後のブリーフィングで「企財部は非対面医療の導入に積極的な検討が必要だという基本的な立場を堅持している」とし「最近のコロナ禍を契機とした(電話相談の容認などの)一時措置は非対面医療の必要性を示した例」と述べた。またキム次官は「本格的な非対面医療に向けては医療法の改正が必要だが、第21代国会で活発な議論を期待する」と付け加えた。
産業通商資源部のソン・ユンモ長官も同日の記者懇談会で「コロナ禍で遠隔医療の長所は検証されたと見られる」とし「副作用を最小化する方法を探り、遠隔医療が活発に行われる制度的基盤を設けなければならない」と述べた。
前日の13日にはキム・ヨンミョン大統領府社会首席が共に民主党を対象とした講演で「遠隔医療に対して否定的な立場の人が多かったが、最近は肯定的な評価もあり、検討が必要だ」と話している。
与党・共に民主党はやや慎重な立場だ。民主党のチョ・ジョンシク政策委議長はこの日のハンギョレの電話取材に対し「非対面医療産業分野とコロナ禍で実施したモデル医療事業について、インフラを構築する程度の話であって、遠隔医療を本格化することは論議されていない。社会的議論と合意が必要な事案」と慎重論を展開した。