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「登校の可否を学校の判断に任せるというが…」集団感染の周辺学校で混乱広がる

登録:2020-05-29 08:27 修正:2020-05-29 09:27
ソウル江西地域の「中3だけ登校」方針に 
自主的に登校を延期…遠隔授業への転換に奔走 
 
道峰区の教師「評価のため登校を強行… 
休校した場合、学校が責任問われる」 
全国838校、登校日程を再調整
登校した生徒のうち、ソウルで初めて新型コロナウイルス感染症の患者が出たソウル江東区の上一メディア高校と隣の小学校が28~29日の2日間、登校を中止した。写真は28日、上一メディア高校の校門に貼られた「登校中止」の案内板/聯合ニュース

 「登校授業関連事項を学校の判断に任せるというが、その分責任が伴うということでしょう?学校が防疫に詳しいわけでもないし…」

 ソウル江西区(カンソグ)の松亭中学校に通う生徒の保護者、ノ・スジンさんは28日、このように語った。同校は最近新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が発生した美術教室に近い所にあるが、教育当局が周辺の幼稚園と小学校の登校日程だけを見合わせたため、中学3年生は予定通り27日に登校しなければならない状況だった。しかし、松亭中学校は感染を懸念する教師と保護者の意見を受け入れ、登校を2日後に延期した。教師らは二日分の登校授業計画を急いで再び遠隔授業へと切り替えるため奔走した。

 ソウル城東区(ソンドング)のある小学校は27日、予定していた1・2年生の東京授業を6月1日に延期したが、実際に登校を実施するかは後ほど公示する方針を保護者に伝えた。来週の月曜日に学校に行けるのかどうかは、週末が近づくほどに予想がつかなくなり、生徒と保護者らは混乱に陥った。同校の保護者は「首都圏でCOVID-19の感染拡大が起きているのに、学校に行かせてもいいのかどうかわからない」と話した。

 京畿道富川市(プチョンシ)のクーパン物流センターやソウル江西区の美術教室など、COVID-19の地域ごとの集団感染が拡大し、感染者が発生した地域を中心に登校に対する不安と混乱が続いている。教育部が28日午前現在集計した現況によると、予定していた登校日程を調整したのは全国の幼稚園・小中高校2万902校のうち4%の838校だった。京畿道富川市の251校、仁川市富平区(ブピョング)の153校、仁川市桂陽区(ケヤング)89校など、物流センターと関連する感染拡大を受け、予防措置として休校を決めた幼稚園と学校が最も多い。ソウルの117校、慶尚北道亀尾市(クミシ)・尚州市(サンジュシ)の186校、忠清南道天安市(チョナンシ)・牙山市(アサンシ)の28校など、市中感染が懸念されている地域でも登校を見合わせる学校が続出している。家庭学習など校外体験学習を理由に登校しなかった生徒は5万4190人だった。学校でCOVID-19に感染することを懸念し、保護者が自主的に登校を見送った場合がほとんどと見られる。

 こうした中、パク・ヌンフ中央災害安全対策本部第1次長は緊急関係長官会議後のブリーフィングで、「登校授業は予定通り進めるものと期待している。状況がより厳しい地域は教育部が柔軟に再調整するだろう」と述べた。地域別、学校別にCOVID-19の拡散度や危険度が異なるため、登校関連の決定を中央政府が一括して行う代わりに、地方政府と学校に任せた既存の方針を維持する考えを示したのだ。この日、ユ・ウンヘ社会副首相兼教育部長官とソウル・京畿・仁川の教育監が行った緊急会議でも、こうした原則が再確認された。

 しかし、教師らは生徒と保護者の不安が大きい状況で、登校の可否を決める負担と責任を学校現場に転嫁するのは適切ではないと指摘する。中学校3年生が初めて登校した27日、ソウル江南区(カンナムグ)のある中学校の教師は「実は一日中、怯えていた」と打ち明けた。感染者の1人が学校近くの飲食店を訪れたが、そこは生徒らもよく訪れる店だったからだ。同じく感染者が発生したソウル道峰区(トボング)のある中学校教師は「事実上、評価のために登校授業強行したが、一部の学校だけが休校に踏み切ると、“公正性”の問題が提起されかねない。結局、学校が保護者の不満などに責任を負わなければならない状況だ」と話した。

チェ・ウォンヒョン、イ・ユジン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/946995.html韓国語原文入力:2020-05-29 02:42
訳H.J

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