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[ルポ]「行かすべきか行かさざるべきか」親たち心配も…初登校に喜ぶ子どもたち

登録:2020-05-28 01:53 修正:2020-05-28 07:13
[ソウル世輪小学校の登校] 
コロナ以後で小学校は初登校
高校2年、中学3年、小学1~2年、幼稚園児が登校授業を始めた27日午前、ソウル松坡区の世輪小学校で教師が子どもたちを歓迎している//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で閉まっていた小学校が初めて登校を開始した27日朝、ソウル松坡区(ソンパグ)の世輪(セリュン)小学校の前は、久しぶりに児童たちでにぎわった。この学校の全校児童はおよそ680人だが、この日は3分の1に当たる1~2年生が登校した。

 登校指導に当たる教師たちに校門で発熱チェックを受け、手指洗浄剤をもらうため、順番を待つ児童が長蛇の列を作った。幼い子どもたちなので、登校させる保護者たちが子どもたちの手を取って待った。登校祝いに母親に買ってもらった花束を手にしている子もいた。教師たちは、子どもたちだけでなく保護者とも笑顔で挨拶を交わし、彼らを迎えた。ある教師は「あなたたちがいて幸せ」と書かれたプラカードを手に生徒たちを歓迎した。地面には「距離を取る」ためのステッカーが貼ってあったが、登校時間がピークになると待機列はこれよりはるかに長くなった。特に、初めて学校に来る1年生たちは胸の高鳴りを隠し切れなかった。背負ったカバンよりも大きな手さげを持っている子どもたちがしばしば目についた。図工の作品など、オンライン遠隔授業を受けていた時にやってきた課題や教科書、ちり紙などの必需品を入れたカバンだった。ある1年生の保護者は「子どもが学校に行って先生に見せるんだと言って、とても興奮している状態」と話した。列を待つ間、「先生の言うことをよく聞くこと」と子どもたちに何度も言って聞かせる保護者も多かった。普段なら保護者が学校の中まで入っていったはずだが、COVID-19状況ではそれができず、保護者たちは校門の外から「行ってらっしゃい」と子どもたちに手を振った。

高校2年、中学3年、小学1~2年、幼稚園児が登校授業を始めた27日午前、ソウル松坡区の世輪小学校の前で、ある児童が両親から花束を受け取っている/聯合ニュース

 保護者たちは登校始業について「期待半分、憂慮半分」と口を揃えた。COVID-19の感染拡大が続いている状況で、子どもを学校に行かせるのは心配だが、かと言って行かせないわけにもいかないということだ。2年生の孫娘を送りに来たイ・イニョンさん(仮名)は「娘夫婦が共働きなので、これまで家で遠隔授業を受けさせるのが大変だったのは事実。実際、家族全員が今朝まで(学校に)通わせるべきか悩んだが、いずれにせよ答えは出そうもないので、ひとまず登校した」と述べた。イさんは「上の孫は4年生だが、ひとまず今日の状況を見守り、今後も登校するかどうかを考えることになると思う」と付け加えた。

 同校の2年生の保護者Cさんは「学校に行かせるのが心配なので、もともとは校外体験学習を申し込んで当分の間は家庭学習をさせようかと悩んでいた」と話した。教育当局は、COVID-19状況に限って、登校しなくても出席と認める校外体験学習プログラムについて、家庭学習もその理由として認めている。ソウルの場合、最長34日間を校外体験学習に使えるようにしている。ただCさんは「先生方が安全な登校のために防疫措置に多くの力を注いでくれていることを知って、考えを改めた。ひとまず、学校を信じている」と語った。

 同校は2回のアンケートを実施するなどして、保護者と最も適した登校授業のあり方などについて事前に協議を行ったという。「毎日登校」から「週1回登校」まで様々な意見が出たが、その中でも若干支持率が高かった「週2回登校」を最終決定した。1、3、5年生と2、4、6年生が隔日で週に2回登校する方式だ。また、登校時間に児童が殺到するのを避けるべきだという意見により、学年ごとに登校時間を10分ずつずらした。教室の中には安全な材質で作られた仕切りを設置するとともに、学年ごとに移動時の動線も分けている。

 1年生の保護者で学校運営委員のイ・ランさん(30代半ば)は「学校側の対応がなってないと判断していたら子どもを行かせなかったはずだ。学校が準備状況などを写真で保護者と共有したりして、これくらいなら大丈夫だと思ったので登校を決めた」と語った。一日中マスクを着用するなど、子どもが不便さに耐えられるかという問いには、「マスクの着用、手洗いなどはすでに日常となっている側面がある。大きい子より、小さい子ほど(防疫指針などに)よく従う」と述べた。

 ただ、COVID-19の状況によっては学校に行かせないこともありうるという余地が残っている。松坡区の場合、現在は市中感染は広がってはいないが、もし江西区(カンソグ)のように広がれば、学校が閉校されることもありえ、保護者が登校させないこともありうるということだ。イさんは「家庭学習の容認はそんな場合に備えた『切り札』だと思っている。もし状況が悪くなれば『切り札』を使わなければならないだろう」と述べた。

 この日登校した学年は幼稚園、小学1、2年生、中学3年生、高校2年生で、全国で237万人ほど。来週の6月3日には小学3、4年生、中学2年生、高校1年生が、6月8日には小学5、6年生、中学1年生が登校する。市中感染が懸念されているソウルの一部地域や慶尚北道亀尾(クミ)、京畿道富川(プチョン)などでは、学校単位または地域単位で授業日程を延期するか、遠隔授業へと転換するなどで調整している。今後も感染者の発生状況などによって登校日程は学校または地域ごとに調整される見込みだ。

チェ・ウォンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
高校2年、中学3年、小学1~2年、幼稚園児が登校授業を始めた27日午前、ソウル松坡区の世輪小学校で児童が教室に向かっている/聯合ニュース
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/946662.html韓国語原文入力:2020-05-27 11:15
訳D.K

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