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日本軍「慰安婦」被害者を初めて報道した植村氏、東京高裁での訴訟でも敗訴

登録:2020-03-04 10:14 修正:2020-03-04 11:06
「捏造」と攻撃した西岡力氏相手に訴訟 
東京高裁「真実の相当性を認める」とし、請求を棄却 
植村氏「歴史的事実を消そうとする勢力がいる」として上告
植村隆(左から二番目)元朝日新聞記者(現『週刊金曜日』社長)が今月3日、東京高裁損害賠償訴訟での判決後の記者会見を行なっている//ハンギョレ新聞社

 故・金学順(キム・ハクスン)さんの日本軍「慰安婦」被害事実を初めて報道した植村隆・元朝日新聞記者(現『週刊金曜日』社長)が、自分の記事を「捏造」だと攻撃した右翼知識人を相手に東京で起こした訴訟で再び敗訴した。

 東京高等裁判所は3日、植村氏が西岡力・麗澤大学客員教授と西岡氏の文章を掲載した雑誌の出版社の文藝春秋を相手に損害賠償金2750万円と謝罪広告掲載を求めて起こした訴訟で、棄却の判決を下した。

 裁判所は、西岡氏が植村氏の書いた記事を「捏造」だと攻撃したことについて、捏造と信じられる真実の相当性が認められるという原審判決を維持した。

 西岡氏は2014年、文藝春秋が発行する週刊誌『週刊文春』に、植村氏が書いた慰安婦被害記事が「捏造」であると攻撃する文章を載せ、その後植村氏は「娘を殺す」と脅迫する手紙が届くなど大きな苦痛を味わった。植村氏は2015年、西岡氏と文藝春秋が自分の名誉を毀損したとし、東京地方裁判所に訴訟を起こしたが、昨年一審で敗訴した。

 植村氏は朝日新聞記者時代の1991年、故・金学順さんの証言録音テープをもとに日本軍「慰安婦」被害に対する記事を書いた。20年後、西岡氏など日本の右翼知識人らが植村氏の書いた記事に「女子挺身隊という名で戦場に連行され」という部分を問題視した。挺身隊は軍需工場の勤労動員で日本軍「慰安婦」とは違うのに挺身隊という用語を使ったと攻撃した。だが、日本軍「慰安婦」被害が広く知られる前の1990年代初めには日本のメディアの大半も政治的性向にかかわらず、挺身隊という単語を日本軍「慰安婦」被害にも使用していた。

 植村氏は判決後の記者会見で「直ちに上告する」意向を明らかにした。植村氏は西岡氏が2014年に『週刊文春』に書いた文章で、故・金学順さんが親に売られていったと(日本政府に対する訴訟の)訴状に書き、韓国メディアの取材にもそう答えたと書いた点を指摘し、全部事実と異なると述べた。「訴状にもそのような供述はなく、韓国メディアは『ハンギョレ新聞』と指しているがそのような内容はない」とし、「西岡氏の文章には重大な欠点がある」と指摘した。

 弁護人は「最高裁も名誉毀損裁判の場合は真実の相当性を厳格に解釈している。高裁は推論として相当な合理性があるとの判決を下したが、これは判例とも食い違う重大な問題だ」と話した。

 植村氏は「日本は歴史で直視しなければならない事実がある。これを消し去ろうとする勢力がある」とし、「今回の不当判決を放置することはできない。このままでは皆さんも記者会見の壇上に上がる可能性がある」と述べた。

 これに先立ち、先月6日、札幌高等裁判所は植村氏が他の右翼知識人の桜井よしこ氏などを相手に起こした損害賠償訴訟でも、東京高裁と同様の趣旨で原告敗訴の判決を下した。

東京/文・写真 チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/930937.html韓国語原文入力:2020-03-03 18:24
訳C.M

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