「何もない野の乾いた草みたいでも、また花として生まれ変わります。だれかに花が散ったと言われても、私はまた種になるのだから」。
11日午前11時、ソウル麻浦区(マポグ)にある戦争と女性の人権博物館。昨年1月28日に死去した日本軍「慰安婦」被害者、故キム・ボクトンさん(1926~2019)の1周忌を追悼する展示会場の片隅に映画『キム・ボクトン』にささげられた曲『花』の一小節が記されている。市民のアン・ジョンヒさんがキム・ボクトンさんを思い出しながら今年初めに制作したカリグラフィー作品だ。この日から今月29日まで、戦争と女性の人権博物館で開かれている故キム・ボクトンさん1周忌追悼展「蝶の夢」では、アンさんの作品をはじめ、キム・ボクトンさんを記憶する市民芸術家23人の作品を見ることができる。
今回の追悼展では、10代から60代までの様々な年齢と職業の23人の市民芸術家たちが、キム・ボクトンさんを思いながら準備したカリグラフィー、絵画、写真、オブジェなどを展示する。参加作家はカン・ミンハ、キム・スギン、キム・ユナ、キム・ウンギュ、キム・ジヨン、キム・ヘジン、キム・ヒジョン、ムン・ジョンウォン、ムン・ハンギョル、パク・ヘラン、ペ・ジュヨン、ソ・ボンナム、ソ・ヒジョン、アン・ジョンヒ、オ・イェナ、イ・ヘジン、チャン・スジン、チャン・ジェヒ、チョン・ミョンスン、チョン・スミン、チェ・ジナ、ホン・ソンウォン、ファン・ジヨンだ。「蝶の夢」という展示タイトルは、「ハルメ(おばあさん)の蝶が飛ぶから若い蝶たちも飛んでほしい」というキム・ボクトンさんの生前の発言にちなんだもの。
作品には、日本軍「慰安婦」被害者の闘争を見守った市民それぞれの願いが込められている。今回の展示のポスターにも使われている絵『少女、蝶と飛ぶ』を描いたイ・ヘジンさん(52)は「『平和の少女像』の隅々に多くの意味が込められている。地面に映るハルモニ(おばあさん)の影から手にある鳥まで。おばあさんたちの小さな夢がだんだん広がっていって、多くの人々が共感してほしいという気持ちから、その意味を絵で表現した」と説明した。
展示に参加した市民芸術家たちは、麻浦区と麻浦文化財団が主管した生活芸術活性化合同展示「2019麻浦夢の展示」に参加した人たちで、共同で日本軍「慰安婦」被害を考える芸術活動をすることで一致した。ソウル文化財団アート寄付トゥゲザー「ささやかな寄付」を通じて市民の寄付金を集めて展示を準備するとともに、戦争と女性の人権博物館から場所の提供を受けた。今回の展示を企画したチョン・セフンさんは「昨年の合同展示の時、多くの市民たちが約束でもしたかのように日本軍『慰安婦』被害女性をテーマにした作品を持って来た」とし、「ちょうどキム・ボクトンさんの1周忌も近かったので、この人たちと一緒に追悼展を企画したら意味があると思った」と語った。
この日はじまった今回の展示会は今月29日まで戦争と女性の人権博物館で行われ、午前11時から午後6時まで観覧可能。