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[ニュース分析]新型コロナが引き起こす変化に注目しよう

登録:2020-04-19 21:03 修正:2020-04-20 12:17
グラフィック_キム・ジョンスク//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)事態が世界に衝撃を与え始めてから2カ月が経ち、少しずつ希望的なニュースが聞こえてきている。グローバル感染者数が200万人を超えたが、韓国ではすでに感染者数の増加傾向がはっきり沈静に向かい、1日に20人余りの水準に留まっていて、医療システムの崩壊まで憂慮されたスペインやイタリアなどでも感染者と死亡者の増加速度が低下している。自発的、非自発的に対面接触を減らした結果なので、まだ安心できる段階ではないが、初期の恐怖からは少なくとも抜け出す姿だ。

 特に、この過程で肯定的な面もあらわれている。COVID-19事態が引き起こした行動様式の変化が技術革命を操り上げている点だ。すでに多くの専門家は“アンタクト”(un+contact)社会の出現が早まるだろうことに同意していて、株式市場ではこうした変化を先導してきた企業の株価に潜在的な価値を反映し始めた。全米の株価指数は、まだ新型コロナショックで落ちた幅の半分も挽回できずにいるが、オンライン・ショッピングモールの代表格であるアマゾンとオンライン・コンテンツ供給の最強者であるネットフリックスの株価は、下落前の頂点をはるかに跳び越えた状態だ。ビデオ会議システムのズーム(ZOOM)を開発したズーム・ビデオコミュニケーションの株価も大幅に騰がった。韓国でもオンラインを利用する50~60代の“親指族”が大幅に増加して、関連企業の価値を引き上げている。

S&P500指数とネットフリックス・アマゾン株価推移//ハンギョレ新聞社

 だが、今回の事態が引き起こしつつある危険な変化も同時にあらわれている。企業側面では、それでなくとも困難に陥っていたオフライン流通企業らが、今回の事態でさらに大きな打撃を受け、オンラインとオフラインを同時に営む企業の場合にも、ビジネスモデルの急速な変身が不可避になった。最近、韓国の一部大型マートは、既存店舗数を大幅に縮小することを決め、銀行や証券などの金融機関もオフライン店舗のリストラを操り上げる可能性が高まった。さらには、未来型ビジネスとして注目された事務空間共有サービス企業の“WeWork”や、宿泊業者共有プラットホーム企業の“Airbnb”も大きな困難に直面したという。COVID-19事態が完全に終息すれば、旅行や事務など日常的活動が再開されるという点で、生半可に該当企業の未来を占うことはできないが、現状のビジネスモデルが持つリスクは十分に証明されたわけだ。

 また、産業や企業でなく、マクロ経済の側面でも巨大な変化が予想される。何よりも政府の力が一層強大になっている。実際、大きな危機が政府の力を強くさせた事例は、歴史でよくみられる。元米連準議長のアラン・グリーンスパンは『アメリカ資本主義の歴史』という本で、1929年の大恐慌以後ニューディール政策が米国政府の権限を永久的に強化したと指摘した。そして実際に、その過程で米国の公務員数と財政支出がGDPに占める比重は大幅に増えた。12年前のグローバル金融危機でも、政府支出の急激な増加とモラル・ハザードの強化、その反作用としての規制強化という形態で政府の影響力を強化した。

 今回のCOVID-19危機でも、各国政府はそれまで資本市場の根幹となってきた規則から抜け出す政策を使って影響力を発揮している。中央銀行を含む政府は、ほとんど無条件に企業不渡りを防ぐために全力をふりしぼっていて、災難支援金という名目で途方もない財源を注ぎ込んでいる。資本主義の中心である米国ですら、間接的形態だとはいえ、中央銀行がジャンクボンドの買収を支援するという前例のない事態が起きている。危機が徐々に薄れ、賢明な退路を発見しようとする努力が続くだろうが、ややもすれば「問題が生じても、いつでも政府が助ける」という見解が生産性下落につながりかねない状況だ。

 COVID-19事態が引き起こしている変化を、現時点ですべて予想することはできない。だが、肯定的な側面でも否定的な側面でも、大きな変化はすでにあらわれている。家計も企業も可能性のある変化を一つずつ点検し対応しなければならず、政府は自ら進めた危機対応の否定的な側面を最小化する方法を講じ始めなければならない。

チェ・ソクウォンSK証券リサーチセンター長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/941098.html韓国語原文入力:2020-04-19 18:26
訳J.S

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