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[ルポ]支援金を受けられない放課後講師、代行運転を掛け持ちする時間講師

登録:2020-05-07 11:09 修正:2020-05-08 16:20
「コロナ絶壁」へと追いつめられた人々 
(4)放課後教室・学習誌・学習塾街 

必要な時だけ「先生」…学校も政府も講師には薄情 
フリーランスで生計支援申請したら「4大保険加入のせいでだめ」 
無給休職者で受けようとしたら「フリーランスだからだめ」
放課後教室講師のSさんが4日、ソウル蘆原区で宅配のアルバイトをしている=カン・チャングァン先任記者//ハンギョレ新聞社

 京畿道で12年間、小学校の放課後教室の講師(放課後講師)としてコンピューターを教えてきたJさん(53)は最近、周囲に「今年を最後に放課後講師としての生活を終える」と宣言した。生徒をはじめ地域の学校の教師たちの研修まで受け持ち、教育監賞も受賞したJさんだが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を経て放課後講師に対する学校と政府の態度に大きな失望を感じたからだ。

 Jさんと同僚たちは、「社会的距離措置」(ソーシャル・ディスタンシング)指針を受け、主な収入源である放課後教室が中止となり所得が大幅に減った。しかし教育当局は、彼らが「個人事業者」(フリーランス)の身分だとして、何の対策も打ち出さなかった。Jさんは「塾より少ない金しかもらえなくても公教育IT専門講師というプライドだけで授業に最善を尽くしてきたが、これまでの努力が何の役にも立たなかったと思うととても悔しい」と訴えた。

 実際、Jさんが学校で働いている間、寂しい思いをしたのは今回だけではない。生徒からは正規授業に入る教師と同じく「先生」と呼ばれていたが、毎月上がったり下がったりする給与通帳を見るたびに苦々しい思いをしたのも事実だ。長期休みの時は施設工事を理由に大半の放課後教室が開かれず、所得が「0ウォン」になった。生徒たちが遠足や修練会に行く日は授業ができないのに、授業をしなかったということで受講料が引かれた。

 先月9日からのオンラインでの始業は、Jさんを一層腹立たしくさせた。放課後講師は個人事業者だとして生計対策には何の策もなかった学校が、教師たちの遠隔授業の制作を手伝わなければならないとし、講師の支援を求めたためだ。Jさんは「1日3時間ずつ、1時間当たり1万ウォン(約870円)を支払うので手伝ってほしい」という連絡を受けたが断った。「必要な時だけ私たちを『学校で働く人』と言う政府は薄情だ」と言った。

 Jさんはフリーランスと特殊雇用労働者の生計対策からも「曖昧に」押し出された。先月、フリーランスなどに月50万ウォン、最大2カ月を支給するという生活安定支援金の話を聞き、市役所に駆けつけた。ところが、昨年11月に授業が途絶えて所得のない冬休みに備えて始めたアルバイトが足を引っ張った。1週間に1度、製造業会社に出勤し、作業に必要なコンピュータープログラムを修正する業務だったが、この仕事を始めてから彼はこの12年で初めて4大保険加入者になった。そのときはこのようなことが起きるとは想像もしなかったが、Jさんのような4大保険加入者はフリーランス支援金の申請対象から除外される。

 アルバイトの給与は100万ウォン(約8万7千円)強だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で被害を受けた社長が「3月に働いた分は4月分と一緒に支払う」と持ち越したため、まだ受け取っていない。しかし、4大保険料は毎月差し引かれ、生活安定支援金も受けることができない。彼は「担当公務員に無給休職者の方でも支援してもらえないかと聞いたところ、今度は『放課後講師はフリーランスだからだめだ』という答えが返ってきた」と空笑いした。

 国家的な災難状況でも社会セーフティネットの保護を受けられないという事実を早くから諦め、「自力で生き残り」に向かった人もいる。30代半ばのLさんは、中学校の正規授業時間帯の「スポーツクラブ」を担当する非常勤講師だ。登校始業が延期された最近、彼は1週間に14時間の遠隔授業を通じて生徒たちに体育理論を教えながら、運転代行の運転手としても働いている。スポーツクラブの授業とは別に、週28時間行っていた放課後教室の授業が中止になり、所得が70~80%急減したためだ。冬休み中の2月、1週間に20時間ずつ行っていた「ケア教室特技適性授業」が最後のオフライン授業だった。

 2014年から6年間にわたり「学校の先生」として生きてきたLさんは、今も自分の職場を「『学校』とは言いにくい」と話した。Lさんが教えるスポーツクラブは、2012年2学期から中学校の教育課程に編成された。同年、政府が学校暴力根絶対策の一環として、中学校の体育授業時間を週当たり4時間に拡大したからだ。最初は体育教師が担当していたが、時間数の拡大で教師が不足すると、教育当局はLさんのような時間制講師に授業を任せた。しかし、時間制講師たちはソウルを除いたほとんどの地域では1週間当たり14時間以上の授業ができない。「15時間以上働けば4大保険に加入し、週休手当ても支給しなければならないため、それ以上は働けないようにする」という。そのためLさんはCOVID-19で「先生」と「代行運転手」を掛け持ちする前から、首都圏の10校余りの学校を飛び回る“バッタ生活”を続けてきた。最初からセーフティネットから外れていたLさんにとって、COVID-19の波はさらに高い。

 彼は「史上初の4月始業」が有力になった3月10日から代行運転を始めた。距離によって1件当たりの手数料は異なるが、「最近“スキル”が高くなった」という彼は、1時間当たり平均1万8千ウォンから2万2千ウォン(約1560円から1900円)を稼ぐ。登校授業が始まっても、COVID-19期間中に滞ったローンを返すため、しばらく代行運転の仕事を続ける予定だ。

 民主労総サービス連盟全国放課後講師労組のキム・ギョンヒ委員長は「離婚したり1人世帯で実質的に家長の役割を果たさなければならない講師たちの場合、3月まではクレジットカード使用などで持ちこたえてきた状況なので、せめて生活資金の融資を受けられるよう望んでいる」とし、「個人の過ちではなく政府の方針で授業ができず所得を失っただけに、教育当局が放課後教室の講師たちのための対策を立てる必要がある」と話した。

ソン・ダムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/943744.html韓国語原文入力:2020-05-06 07:43
訳C.M

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