「オリーとトゥルルトゥル~、手を洗おうトゥルルトゥル~、石鹸でトゥルルトゥル~、手を洗おう!」
手を洗うためトイレの壁に設置された石鹸のボタンを押すと、泡と共に楽しい歌が流れてきた。世界的に大流行したピンクフォン(Pinkfong)の「ベイビーシャーク」の替え歌で、手のひらから手の甲、指の間も洗おうという歌詞だった。「オリー」はベイビーシャークの名前だ。歌はちょうど30秒で、防疫当局が強調する個人衛生第1守則の手洗いに合わせた時間だ。石鹸の容器には「30秒歌石鹸」というシールが張られていた。韓国政府が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応し、子どもに手洗いの習慣を身につけようと打ち出したアイデアだった。
「ベイビーシャークのオリーと手を洗おう」という曲名のこの歌は、生活の中の距離措置が始まった6日、ソウル龍山区(ヨンサング)国立中央博物館内の子ども博物館、ソウル江南区(カンナムグ)国立子ども青少年図書館のトイレなどで一日中流れていた。今年2月末、COVID-19の感染拡大で休館に入って以来、約70日ぶりに聞こえる“人の声”だ。
上記2カ所をはじめ、臨時休館していた国立美術館や博物館、図書館など国公立施設24カ所が営業を始めた。出入り口など人が集まる場所には、床に距離を取るためのシールが貼られ、訪問客は間隔をあけて並んだ。マスクの着用と発熱の確認は必須で、入場券はほとんどインターネットで前売りされたものだった。防疫当局の「生活の中の距離措置」に合わせた、約2カ月前とは全く異なる風景だ。
同日、国立中央博物館は外出自粛に疲れた市民を歓迎し、71日ぶりの再開館を記念するため、初来場者には花束を、観覧客100人にはマスクを配った。観覧客は1時間に300人に制限し、それを超えない範囲内で当日券を販売した。午前10時頃を除けば、残りの時間は観覧客枠いっぱい多くの人が訪れた。
このような風景は海外メディアの注目を集めた。国立現代美術館側は「4日からホームページで事前予約を受け付けている。予約できなかった方には当日券も販売するが、案内デスクには飛沫防止用の仕切りや安全距離維持シールもあり、人が密集することはなかった」とし、「(このような姿に)注目が集まり、午前10時の開館に合わせ、韓国の放送局だけでなく、『アルジャジーラ』や『フジテレビ』などの海外メディアも取材を行った」と話した。
防疫主体の中央災難安全対策本部(中対本)と中央防疫対策本部のブリーフィングも、45日ぶりに対面形式で開かれた。出席者全員がマスクをつけ、座席を一つ開けて座った。キム・ガンリプ中対本第1総括調整官はブリーフィング後、記者団に「やっと顔を見ながらブリーフィングできる。カメラに向かって(ブリーフィングを)行うのはなんだか落ち着かなかったが、やはり皆さんの顔を見ながらしゃべる方がいい」として笑顔を見せた。「外国では全国単位はおろか、地方単位の選挙も取り消されたが、2千万人以上の有権者が参加した4・15総選挙が(地域社会への感染拡大なく)無事に終わったことを最も嬉しく思う」と感想を述べた。
5日のプロ野球開幕に続き、プロサッカー(8日)とプロ女子ゴルフ(14日)、地方自治体や種目団体主催の体育大会なども順次開かれる予定だ。今月5日、無観客で開幕したプロ野球は、近く観客を入れて行う見通しだ。斗山ベアーズ、LGツインズ、キウム・ヒーローズなど3つの野球球団の本拠地であるソウル市のソ・ジョンヒョプ行政1副市長は「市民安全対策を設けた後、近いうちに観客入場試合を段階的に拡大する」と述べた。生徒対象の体育大会は登校日程と連携し、6月後から順次再開される。ただし、地域の祭りは延期・取り消す現在の方針を当面維持する。
韓国政府は現在、31項目で構成された施設・状況別の細部防疫指針を約70項目に補完し、5月末に発表する予定だ。キム・ガンリプ調整官は「現在の指針は、水も漏らさないほど徹底したものではないない。完璧でないことはよく知っている」としたうえで、「国民の日常の隅々まで政府が強制できるわけではないため、今後さらに補強した内容を示すつもりだ」と述べた。