「キム・ヨンヒ同志、愛しています。頑張って下さい」。
4日午後3時ごろ、ソウル江南区(カンナムグ)の江南駅交差点のCCTV(防犯カメラ)の鉄塔の下の市民たちの叫びは、25メートル上のサムスン被解雇労働者キム・ヨンヒさん(61)へと届いた。キムさんは応援に応えるように、手狭な鉄塔の隙間から頭をもたげ、明るく笑いながら手を振った。同時刻、鉄塔向かいの通りと鉄塔のある江南駅2番出口周辺では「財閥の積弊清算、民衆の力で」という黄色いプラカードを貼った車がクラクションを鳴らしながら応援した。
この日は、サムスン航空に労組を作ろうとして1995年に解雇されたキム・ヨンヒさんが、サムスン社屋前の鉄塔に上って高所闘争を始めて300日目に当たる。キムさんはサムスンによる「真摯な謝罪と名誉復職、解雇期間に対する賃金支払い」を要求し、直径1.5メートルの円形の鉄板の上で闘っているが、サムスンは未だこれに答えていない。
サムスン被害者共同闘争など、キムさんのために集まった市民約500人(主催者側推算)は、午後1時頃から江南駅に集まり、車と徒歩に分かれて集会を開いた。一部の市民は江南駅8番出口前から「保険会社に対応するがん患者の会(保がん会)」の座り込み現場と果川(クァチョン)立ち退き住民の座り込み現場を回り、江南駅へと戻るデモ行進を行った。彼らは「キム・ヨンヒを地上へ、イ・ジェヨンを監獄へ」というスローガンを叫んだ。さらに200台あまりの車両が前後にプラカードを貼り、ソウル瑞草区(ソチョグ)のソウル中央地裁から江南駅までの2キロほどを、クラクションを鳴らしながら行進した。
キムさんの闘争が300日を超え、この日は慶尚北道や慶尚南道、仁川(インチョン)など、全国から多くの市民が上京して集会を共にした。慶尚北道亀尾(クミ)から高速列車(KTX)に乗ってやって来たウン・ヨンジさん(58)は「地方にいるのでこれまで来るのが大変だったが、300日を迎えるということで、絶対に来なければと思って明け方から準備してきた。お歳を召しているが必ず復職して少しでも勤務し、日常生活に戻ってほしい」と話した。仁川で市民運動をしているチェ・グァンシクさん(63)は「キム・ヨンヒさんは時代の十字架を背負っているイエスだ。遠くから応援だけでもしようと思ってやって来た」と、傍観者としての申し訳なさを語った。デモに先立ち、市民は数日前からフェイスブックやツイッターなどに、「#サムスン被解雇労働者_キム・ヨンヒは_地上へ、#反労働悪質サムスン財閥資本_イ・ジェヨンは_監獄へ」などのハッシュタグをつけてキムさんを応援した。
一方、この日鉄塔に上がってキムさんに会った活動家たちは、キムさんの状態と300日を迎えた思いを伝えた。サムスン被害者共同闘争のハ・ソンエ代表は「キム同志は『労働者解放のために闘ってきた数多くの労働者のことを思えば、300日の高所座り込みで自分の健康を心配するのは贅沢なこと。高所闘争はキム・ヨンヒ個人とサムスンとの闘いではなく、労働者階級と資本家階級間の闘い』と述べた」と伝えた。保がん会のパク・サムジェ共同代表は、「キム同志は獣のオリよりひどい環境で、座ることもできず挟まっている状態だ。精神力一つで持ちこたえているキム同志を我々が早く地上に降りて来られるよう力を合わせなければならない」と強調した。人道主義実践医師協議会のチェ・ギュジン会長は「長期間にわたる高所闘争で、キム同志は内臓機能が麻痺し、右側が麻痺している。精神的にも肉体的にも今すぐ何かが起きても不思議ではない」と懸念を示した。