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「距離を取るのが難しい脆弱層の防疫システム、長期戦に備えを」

登録:2020-03-13 02:04 修正:2020-03-13 07:42
専門家、「防疫死角地帯」対策を指摘 
 
コールセンターなど密集度改善支援策が必要 
在宅勤務が困難な場合は有給休暇を 

療養施設の集団感染には構造的要因 
看病人にはマスクすら支給されない
ソウル九老のコールセンターの新型コロナ集団感染を受けて、机ごとに仕切りを設置するコールセンターが増えている。写真は、仕切りが設置された京畿道水原市のヒューマンコールセンター//ハンギョレ新聞社

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がパンデミック(世界的大流行)となるとともに長期戦が予想される中、感染管理が脆弱な環境で働いていたり、滞在を続けざるをえない脆弱層を対象とした防疫活動と支援が行われるべきだという声が高まっている。劣悪な環境で長時間働く労働者は感染に脆弱にならざるをえず、疑わしい症状があっても「しばらく止める」ことが難しい。

 最近、ソウルや大邱(テグ)のコールセンターを中心にCOVID-19感染者が100人以上確認されており、感染拡大の懸念も高まっている。背景には、防疫当局が繰り返し強調してきた「社会的に距離を取る」を実践しにくい人々の勤務環境がある。一日中密集した空間に座って電話相談を受ける労働者の勤務環境は集団感染につながるためだ。

 これについて専門家たちは、コールセンター労働者のように防疫当局の指針を実行しにくい脆弱層に目を向けるべきだと強調する。ソウル大学保健大学院のキム・チャンヨプ教授は「資本主義社会で社会的に距離を取ることが最も不可能な領域は経済活動が行われる職場。個人の自発性によってではなく社会構造的に距離を取ることができるようにすべき」と提案する。防疫当局はコールセンターやカラオケなど感染に脆弱な事業所に対し、感染管理や対応の体系を整えるようにしているが、職員の症状管理や勤務環境の改善に取り組む余力がない事業所に対しては、政府が積極的に支援すべきということだ。

 仁荷大学職業環境医学科のイム・ジョンハン教授も「政府がリスクの大きい事業所を点検し、(密集度を抑えるための)勤務形態の転換や環境改善が不可能な脆弱事業所の労働者に対しては、有給休暇などの対策を提示すべき」と述べる。ソウル大学保健大学院のファン・スンシク教授は、「屋外で働く労働者にも注目すべき」と指摘する。日雇い労働者が集まって働き食事と寝泊りをする環境も感染症に脆弱だからだ。

 慶尚北道地域を中心に発生した療養病院と老人療養施設の集団感染は、予見されていた結果に過ぎない。COVID-19流行以前から感染管理が不十分で、患者の安全を脅かすという指摘は多かった。しかし、防疫当局はこのような構造的な問題を放置したまま、中国などへの渡航歴のある従事者の業務からの排除、面会制限、原因不明の肺炎患者発生の有無などについての全数調査ばかりを繰り返している。

 最近、療養病院を数カ所見て回ったという仁荷大学医学部のイ・フンジェ教授(社会医学)は「病院に必要な意味ある防疫措置が全く行われていない。店舗の多数入る建物に療養病院があることも多いが、人手不足で出入り口の遮断も容易ではなく、患者と密接に接触する看病人(患者に対して医療行為以外の看護、介護全般を行う。病院の職員ではなく、本人または家族に直接雇われるのが一般的)は医療陣ではないため公的にマスクも受け取れない状況」と述べた。ひどい場合は、マスクをつけられない慢性疾患の高齢者患者もおり、療養病院は患者と従事者のいずれも感染の危険にさらされていることが少なくないという。京畿道医療院安城(アンソン)病院のイム・スングァン院長は「療養病院と療養所に専門家を送り、衛生規則や注意事項を指導したり、疑われる症状のある従事者が休めるようにするなど、感染管理のための人材、資源、サービスなどを支援すべき」と話す。

 韓国療養保護士協会と全国社会福祉ユニオンは、今月4~9日に全国の2184人の療養保護士と障害者活動支援士を対象に調査を行った。その結果、回答者の79.2%が高齢者や障害者の家を訪問する際、マスクと消毒剤を支給してもらえなかったことが分かった。こうした脆弱層への支援策なしには、完全に「社会的に距離を取る」ことは困難ということだ。

パク・ヒョンジョン、パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/932384.html韓国語原文入力:2020-03-12 20:45
訳D.K

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