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[インタビュー]太極旗掲げられた日本のクルーズ船、韓国人搭乗客のストーリー

登録:2020-02-14 08:46 修正:2020-02-14 12:44
韓国人搭乗客14人、ともに健康な状態 
狭い部屋に隔離され“刑務所”のような生活 
それでも「韓国人だから安心できる」と愛国心を現わす 
「カップラーメンの代わりに太極旗を送ってほしい」との要請も 
「日本旅行に行った売国奴」という悪質な書き込みに心痛める

 日本に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号で発生したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者数はこれまで218人(13日午前基準)。この船には乗客・乗務員含めて、韓国人14人が10日以上に隔離されている。日本政府の判断によって全体搭乗客の下船が禁止された今、韓国人搭乗客の状況はどうだろうか。

ダイヤモンド・プリンセス号内の韓国人搭乗者=横浜総領事館提供//ハンギョレ新聞社

 13日、ハンギョレTVの「フォンタビュー」(電話インタビュー)制作陣は、日本の横浜現地にあるユン・ヒチャン横浜総領事に詳しい話を聞いてみた。彼は最近SNSや携帯電話、客室固定電話などで韓国人搭乗客とコミュニケーションを取ってきた。

 日本のクルーズ船内の韓国人搭乗客の健康は現在大丈夫だろうか? ユン総領事は「13日午前中に確認したところ、全員健康であることが分かった」とし、「高血圧などの持病がある方にも昨日必要な薬を支給した」と述べた。

 「約50カ国の搭乗客が大型クルーズ船に閉じ込められ、隔離された特殊な状況でも、韓国人乗客たちは韓国総領事館との緊密なコミュニケーションや物品支援により、心理的にも安定的な姿を見せている」とユン総領事は説明した。

 ユン総領事は「韓国人だから安心できる、祖国を誇らしく思っているとし、太極旗(韓国の国旗)を要請した乗客もいた」と述べた。

 さらに「韓国人搭乗客の中にはインターネットを通じて『日本に旅行に行った売国奴』という悪質な書き込みを見て心を痛めた人もいる。(そのような悪質な書き込みは)控えてほしい」と要請した。

 以下はユン総領事との一問一答

 Q.日本のクルーズ船内の韓国人の健康状態はどうか?

 A.「午前中に確認したところ、全員健康な状態だ」

 Q.持病で服用しなければならない薬が足りない人もいるそうだが。

 A.「高血圧など持病のある方々にも、必要な薬を届けた」

 Q.搭乗した韓国人の年齢層は?

 A.「韓国人搭乗客の年齢は60~70代が最も多い。乗務員たちは20~30代で若い」

 Q.船内で食事はどのように行われているのか?

 A.「(COVID-19)感染の問題で、搭乗客は皆、客室の外に出ることができない。客室乗務員たちが食事を配達している」

 Q.食事は十分届けられている状況か?

 A.「クルーズ船が隔離される前は品ぞろえも豊富だったという。隔離後は以前ほどではないと聞いた」

 Q.乗客たちが客室に隔離されている状態なら、デッキやレストランなど他の場所への移動は不可能なのか?

 A.「乗客たちは自分の客室の中だけで生活している。ただし、二日に一度は1時間程度デッキで運動できるようにしている」

 Q.総領事側はこれまでどのような方法で韓国人乗客とコミュニケーションを取ってきたか?

 A.「携帯電話を持っていない方は有線電話で客室に直接電話を入れるか、SNSや携帯電話などでコミュニケーションを取っている」

 Q.韓国人の乗客たちが一番不便を感じているのは何か?

 A.「洗濯物の処理など、客室サービスなどが円滑に行われず、不便だと言っていた」

 Q.狭い客室に閉じ込められていると、心理的に大変だと思うが。

 A.「かなり狭い部屋だが、インターネットができるため、映画などを見ながら過ごしていると聞いている。昨日、一部の乗客と電話で話したが、予想より声も明るく、少し安心した。窓がある部屋の乗客も多く、窓を通じて外の風景を眺めるのもある程度は役に立つのではないかと思う」

 Q.総領事館で別途の韓国人乗客に必要な物品を支援していると聞いた。どのような方法で支援を行っているのか?

 A.「昨日(12日)初めて韓国人搭乗客に品物を届けた。韓国人乗務員と搭乗客14人のうち12人が品物を要請してきた。長い間船室にいるため、キムチやラーメン、海苔のような韓国料理が恋しいという人たちがいた。さらに、歯ブラシや歯磨き粉、医薬品(湿布、ビタミン)など12品目155点を届けた」

 Q.クルーズ船の中に直接届けたか?

 A.「クルーズ船内には直接入れない。日本側を経て、物品を各戸室ごとに届ける。確認してみたが、全員受け取ったようだ」

 Q.感染の危険性に対する不安はないか?

 A.「1日に2回、自己診断をした後、結果を提出するという。韓国人の搭乗客の中でまだ感染した人はいない」

 Q.インターネットのポータルサイトなどには、「このようなご時世になぜ日本の船に乗ったのか」という非難のコメントも多く見られる。このようなものを見て、心理的な苦痛を訴える人はいなかったか。

 A.「そういう人もいる。日本のクルーズ船関連の国内記事に『売国奴』など非難の書き込みがあるのを見て、非常に憂慮している雰囲気だ。できるだけ非難のコメントを慎んでほしいとお願いしたい」

 Q.日本国内では問題のクルーズ船をめぐり「海に浮かぶウイルス培養皿」と呼ばれるほど、この船が感染確率の高い隔離空間とされている。韓国人搭乗客が一日でも早く下船できる可能性はどの程度なのか。

 A.「今日も追加感染者が44人が出て、総感染者が218人だ。潜伏期間2週間が経った2月19日になると下船させるというのが日本政府の方針だ。ただし、今のように感染者が続出すれば、(下船時期に)影響を及ぼすのではないか懸念される」

 Q.持病がある人や80代以上の老人は下船してもいいという日本政府の発表があったが。

 A.「どのような基準で持病があると判断できるのか、その具体的な基準については発表されなかった。だから、今のところは何とも言えない」

 Q.韓国人を移送する計画はないか?

 A.「韓国国民だけを移送するのはかなり難しい。今後状況の変化に応じて対応していくというのが韓国政府の立場だ」

 Q.韓国人の搭乗客たちがこれまでのコミュニケーションで特別に伝えたメッセージがあるか。

 A.「カップラーメンの代わりに太極旗が欲しいといった乗客もいた。彼らが自分が韓国人なので、このような状況でも安心できるし、応援してくれる韓国国内の人にも感謝していると話している。その気持ちを伝えたくて、太極旗を特別に要請したという。現在、日本のクルーズ船には太極旗が掲げられているが、この方たちが掲げておいたものだ」

キム・ポグニ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/928208.html韓国語原文入力:2020-02-13 23:21
訳H.J

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