保健当局は6日、新型コロナウイルス感染症の地域社会への大規模な拡散可能性に重きを置いて、これに対応する防疫体系を強化する案を検討していると発表した。中国からの入国者と患者が接触した人たちに対するモニタリングを中心とした従来の対応から、防疫網をさらに広げ、経路を把握するのが難しい地域社会での感染に備えるという趣旨だ。しかし、保健当局はこれに向けた具体的な対策を追加で打ち出すことはできなかった。防疫インフラが不足している地域社会を中心に、拡散の可能性に備えた対策を優先的に樹立すべきという声もあがっている。
チョン・ウンギョン中央防疫対策本部長は同日、定例ブリーフィングで「明日(7日)から確定検査を強化して事例を増やせば、感染者の数がさらに増加する可能性もあり、感染源を推定することが困難な地域社会での感染患者も発生しうると予測している」とし、「特に、軽症患者を通じて感染が拡大する特性上、地域社会への拡散の規模が大きくなる可能性もあると考えている」と述べた。さらにチョン本部長は「3・4次感染も(地域社会における感染者との)つながりがあって発生したケースだ。しかし、事例定義の範囲(検査対象の範囲)が広がれば感染源を推定しにくい地域社会での感染患者も発生する可能性があるとみている」と付け加えた。新型コロナウイルス感染者が発生した後、保健当局の責任者が地域社会への大規模拡散の可能性に言及したのは今回が初めてだ。
これに先立ち、同日午前、キム・ガンリプ中央事故収拾本部副本部長も「感染が確認された人が23人に増えるなど、地域社会に広がる可能性が次第に高まっており、注意が必要だ」とし、「現在の防疫管理体系と、特に地方自治体の地域防疫対応体系をさらに強化する案について会議で集中的に話し合った」と述べた。
保健当局は患者の増加に備え、隔離・診断・治療のための病床やスタッフなど医療資源が不足しないよう準備する一方、ワクチンと治療剤がない新型感染病の特性上、効果のある治療剤などを確保することに努めていると説明した。しかし、7日から一日の検査対象がこれまでより5倍近く増える状況で、その実施が困難な地域が出る可能性もある。匿名を求めた医療界関係者は「ソウルや京畿など首都圏には隔離対象者を収容したり接触者を管理する余力があるだろう」とし、「資源が不足した地域に対する対策を早急に講じなければならない」と述べた。大韓医師協会は同日、緊急の対政府勧告文を発表し、「検査の拡大で隔離対象患者の急激な増加が予想されるが、全国に確認された隔離病棟は約260カ所に過ぎない」とし、「最善の方法は、国公立病院の一部をコホート隔離病院に指定し、感染患者を地域社会の一般病院から分離すること」だと強調した。
同日、追加で感染が確認された4人のうち中国から入国した23人目の患者を除いた3人は、既存の患者から感染した「2・3次感染」の事例だった。20人目の患者(韓国人女性・41)は15人目の患者の義妹であり、21人目の患者(韓国人女性・59)は6人目の患者とソウル鍾路区明倫教会に通っていた知人で、それぞれ自宅隔離中に検査を受けて確認された。22人目の患者(韓国人男性・46)も16人目の患者の兄で、自宅隔離中に確認された。
このうち20人目の患者は最初の検査で陰性反応が出たが、再検査で陽性と判明した。1回目の際は接触者に分類されたため、感染の症状がない状況でも検査を受け、陰性が出たものと推定される。ただし、同患者は1次検査結果の後にも自宅隔離した状態で、地域社会との接触はなかった。陰性判定後の再検査で陽性が出たケースは今回が2回目だ。
一方、光州(クァンジュ)広域市は16人目の患者が訪れた21世紀病院と全南大学病院を含め、接触した340人のうち145人に対して感染の有無を検査した結果、いずれも陰性と確認されたと発表した。光州市関係者は「ハイリスク群と見なされた23人を21世紀病院に、低リスク群に分類された31人を光州消防学校生活館に隔離措置している」と明らかにした。6日基準で韓国国内で感染が確認された患者は23人に増え、疫学調査中の18~23人目の患者を除いた17人の接触者は1234人に達する。