新型コロナウイルス感染症拡散を防ぐため、韓国政府が入国制限措置を中国湖北省以外の地域まで拡大するかどうかを検討している中、浙江省や広東省、河南省、湖南省、安徽省など5つの地域が検討対象になるものとみられる。
チョン・セギュン首相は5日、「中国の湖北省だけでなく、周辺を綿密に確認し、両国間の必要な措置を取る」と述べた。チョン首相は同日、国会で開かれた政府・与党・大統領府高位協議会で新型コロナウイルス感染症の拡散と関連し、「万が一あるかもしれない追加拡散と事態長期化の可能性についても徹底的に備える」と強調した。これに先立ち、政府は4日0時からウイルス震源地である武漢が含まれた中国の湖北省に2週間以内に訪問したか、滞在したことのあるすべての外国人の入国を禁止した。チョン首相の発言は、追加の入国期限措置をする可能性を示唆したものと見られる。
政府・与党・大統領府は湖北省に出された「撤収勧告」を中国の他の地域にも拡大することと、中国人に対する観光目的の短期ビザ発給の中止など、入国・出国制限措置を拡大する必要性を多角的に点検している。共に民主党も「新型コロナウイルス対策特別委員会専門家懇談会」を開いたが、この場でも入国禁止地域を広げる案を考慮すべきという声があがった。チェ・デソプ大韓医師協会会長は「湖北省の入国禁止はかなり高く評価するが、地域を拡大し、場合によっては中国全域まで(拡大することを)至急考慮しなければならない」と指摘した。同日、共に民主党の特委では浙江や広東、河南、湖南、安徽など5つの地域への拡大策が具体的に取り上げられたという。
中国内の感染症拡散の勢いが加速化し、5日現在の累積死亡者は490人、感染が確認された患者は2万4324人に達した。入国禁止状態の湖北省が、累積感染者1万6678人、死亡者479人で圧倒的に多いが、浙江省と広東省で感染者がそれぞれ900人に迫っており、河南省や湖南省、安徽省もそれぞれ500~700人を記録している。このため、これら5つの地域が入国制限検討対象地域に取り上げられるが、政府は様々な事案を考慮しなければならないとし、慎重な態度を示している。政府関係者は「地域による感染者数の増加など、具体的な状況を注視しながら、旅行警報などを調整する問題などを引き続き検討している」とし、「国民の安全が最優先になるが、感染者や死亡者数だけでなく、国内検疫など現実への適用性、実効性の側面からも検討すべきことが多い」と述べた。
一方、中央事故収拾本部は同日、中国のほかにも新型コロナウイルス感染症患者が多く発生した他の地域に対する「渡航歴情報」を各医療機関に提供する案を検討していることを明らかにした。日本とタイに続き、先月、シンガポールからの帰国後ウイルスに感染した17人目の患者が確認されたことで、中国以外の地域も安心できないと、当局が判断したものとみられる。中央事故収拾本部のキム・ガンリプ副本部長は同日の定例ブリーフィングで、「中国以外の地域からの感染者を防ぐための方法があるか」という質問に対し、「海外渡航歴情報提供専用プログラム(ITS)などを通じて、中国以外に患者がかなり準発生した地域に対する渡航歴情報も提供できる案を検討している」と答えた。