数百億ウォン台のわいろと横領などの容疑で裁判に付された李明博(イ・ミョンバク)元大統領の控訴審で、検察は懲役23年を求刑した。懲役20年を求刑した一審宣告より3年重い求刑だ。李元大統領は、一審で懲役15年を宣告された。
8日、ソウル高裁刑事1部(裁判長 チョン・ジュニョン)は、自動車部品企業ダースの資金を横領し、サムスンから米国現地訴訟費用をわいろとして受け取った容疑などで起訴された李元大統領の結審公判を開いた。2018年10月の一審宣告後に控訴審が始まってから約14カ月がたった。検察は、公職選挙法上、大統領在任中のわいろ授受疑惑は、他の犯罪と分離して宣告しなければならないとの原則に則り、わいろ授受容疑には懲役17年と罰金250億ウォン(約23億円)、追徴金163億ウォン(約15億円)余りを、その他の容疑については懲役6年と罰金70億ウォン(約6.5億円)を求刑した。すべて合わせれば懲役23年、罰金320億ウォン(約30億円)、追徴金163億ウォン(約15億円)になる。
検察は「被告人は、国民により与えられた権限を私益追求の手段として乱用し、憲法価値を傷つけた。ダースが誰の所有なのか尋ねる国民を徹底的に欺瞞し、ダースを借名所有した」として「大統領の強大な地位を活用して、巨額のわいろを受け取り、国家安保に使われるべき血税を上納させた」として求刑の理由を明らかにした。
李元大統領は、裁判が始まるとすぐに目をとじて頭を少し下げ、二時間以上にわたり続いた検察の求刑と弁護人の最終弁論を聞いていた。裁判所が最終陳述を要請すると、席から立ち上がり、字がぎっしりと詰まったA4用紙を取り出して30分かけて読み終えた。
李元大統領は「ダースは、兄と義理の兄弟のキム・ジェソンが共に設立し、30年以上にわたり経営権紛争なく経営してきた会社だ。ダースの株式を一株たりとも持ったことはなく、配当を受けたこともない」として、ダース実所有主関連疑惑を否定した。サムスンからわいろを受け取った疑惑と関連しても「検察は“わいろ”という犯罪を作るために脚本を仕組み、それに合わせて陳述書を作り出した」と反論した。李元大統領は「検察は人を殺していなくとも殺人者に仕立て上げられるという気になった。私企業でも公職でも、私欲を前面に出したことは一度もなかったと自負する」とも抗弁した。
李元大統領は、1992~2007年にダースを実所有し、秘密資金339億ウォンを作り、サムスンにBBK投資金回収に関連したダースの訴訟の際に、数十億ウォンを代納させるなど、16の容疑で2018年4月に拘束起訴された。一審裁判所は、彼をダースの実所有者と認定し、懲役15年に罰金130億ウォン、追徴金82億ウォンを宣告した。裁判所は、ダース訴訟費の代納で67億7000万ウォン余りを受け取った容疑で、うち61億ウォンをわいろと認定した。
その後、控訴審で検察は2019年5月に国民権益委員会が移牒した資料を根拠に、一審当時に起訴したわいろ金額より多い訴訟費用をサムスンが米国のローファーム「エイキン・ガンプ」に代納したと見て、わいろ金額を51億ウォン余り増やして起訴状の変更を申請した。李元大統領のわいろ授受金額は、既存の67億ウォンに追加起訴された51億6千万ウォンが加えられ計119億3千万ウォンになった。
李元大統領への宣告は2月19日午後2時5分に予定された。