文在寅(ムン・ジェイン)大統領と日本の安倍晋三首相の24日の首脳会談で、日本の輸出規制を解除する具体的な合意は出なかった。苦労して生かした対話のきっかけを維持しようという共感は得られた。韓日は当分の間、日本の対韓国輸出規制や強制動員被害者問題など懸案の解決に向けた協議に集中する見込みだが、難題は依然として多い。
1、2カ月前まで激しく対立していた両国の関係を考えると、1年3カ月ぶりに開かれた今回の韓日首脳会談は、関係の復元に向けた重要な転換点と見ることができる。チン・チャンス世宗研究所首席研究委員は、「韓日間の認識の差があまりにも大きかったため、対話ムードに転換しただけでも肯定的だ」と述べた。
韓日首脳が対話へと重心を移したのは、対立がさらに深まった場合、両国ともより大きな打撃を受けるという認識に基づいているものと見られる。韓国最高裁判所(大法院)の強制動員判決→日本の対韓国輸出規制の報復→韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定などを経て、韓日が強硬対決に突き進んだことで、両国の経済的打撃はもちろん、東アジア安保にも影響が及んだ。安倍首相としても政府主催の「桜を見る会」を私的に活用したという「桜問題」で支持率が40%以下に落ち込んだだけでなく、来年7月の東京五輪を考えると、韓日関係を回復しなければならない切迫さが大きくなったという分析だ。
韓日政府は現在進められている輸出規制をめぐる協議に拍車をかける見込みだが、強制動員問題の解決策をめぐっては隔たりが大きく、解決までに時間がかかる可能性が高い。この日も強制動員問題をめぐって両国は激しく対立した。コ・ミンジョン大統領府報道官は、「強制動員と関連し、両首脳は互いに立場の相違を確認した」と明らかにした。安倍首相は会談後の記者会見で、「国交正常化のための日韓基本条約と請求権協定が守られなければ、国と国との関係は成り立たない」とし、「韓国側の責任で(強制動員の)解決策を示すよう、文大統領に要求した」と述べた。 「韓国側の責任で解決策の提示」を要求することで、日本側は従来よりも強硬な立場を示したと言える。その一方で、両国は強制動員被害者問題を対話で解決することで合意した。チン・チャンス首席研究委員は、「強制動員問題は、韓国の被害者がどれくらい受け入れられるかが最も重要だ。ムン・ヒサン国会議長が法案を発議したが、被害者が反対しているため、解決策にはならない」とし、「韓日が問題を解決するという覚悟で議論を進めていかなければならない」と述べた。
輸出規制と強制動員問題を解決する対話の時間が無限に残っているわけではない。韓国最高裁(大法院)の損害賠償判決を受け、差し押さえた日本企業資産の現金化(売却)手続きが進んでいるのは、韓日いずれにとっても負担になる。大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部は、今年5月から日本製鉄に対して現金化命令手続きを踏んでいる。政府関係者は「日本企業の資産の現金化というリスクが現実化されない限り、輸出規制は来年1月末頃までに打開策が見つかるものと見られる」と述べた。しかし、日本が輸出規制解決の時間を先送りし続けた場合、韓国政府は「GSOMIAの終了」を再検討するという原則を明らかにしている。
韓日の歴史問題の根源的解決のため、多様なチャンネルが必要だという指摘もある。ソウル大学日本研究所のナム・ギジョン教授は「植民地支配の違法性や個人請求権など、1965年の韓日請求権協定に対する韓日の解釈が異なっており、歴史問題をめぐる対立が繰り返されている」としたうえで、「韓日の歴史・法律専門家、できれば第3国の専門家を参加させて解釈のずれをなくすなど、歴史問題の解決の扉を開けておく必要がある」と指摘した。