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[記者手帳]サムスンは本当に「無労組経営」を放棄したのか

登録:2019-12-23 09:47 修正:2019-12-23 17:20
最高裁判所が国政壟断事件の主要人物である朴槿恵前大統領とチェ・スンシル氏、サムスン電子のイ・ジェヨン副会長に対する上告審の判決を下した8月29日、ソウル瑞草洞のサムスングループ本社入口にかかった旗が風になびいている=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 「控訴審前に対外的なイメージアップのために発表したようですが、(外部で)思うほど(サムスンが)大きな変化を受け入れたとは思えません」(サムスン系列会社の労組関係者)

 今月18日、サムスングループが「サムスン電子サービス労組解体工作」に介入した元・現職役員7人の実刑判決に「立場文」を発表したことに対し、保守・経済誌は一斉に「サムスンが創立81年ぶりに『無労組経営方針』を廃棄した」と報道した。しかし、「労組する権利」の当事者であるサムスン系列企業の労組組合員らは、こうした解釈に対し、「夢より夢うちが良い」(実際の現実よりも良いように解釈することの例え)という反応を見せている。

 「労組解体工作」の被害当事者のサムスン電子サービス労組は、サムスンの真正性に疑問を呈した。短い立場文で、サムスンは「多くの方々にご心配をおかけし、期待を裏切る結果となり、大変申し訳ない」としただけで、サムスン電子サービス労組は謝罪の対象から外れたためだ。全国金属労組サムスン電子サービス支会のユン・ジョンソン非常対策委員会議長は、「事件の被害者がいるのに、労働者に対する謝罪なしに 『多くの方々に申し訳ない』と言えば、当事者はその真摯さを信じられるだろうか」とし、「サムスンが本当に無労組経営原則を放棄するつもりなら、その立場を明確に示しただろう」と指摘した。

 サムスン電子のイ・ジェヨン副会長らオーナー一家が公式に「無労組経営方針の廃棄」を宣言しない以上、今回の発表も再び口先だけの”イベント”で終わるという見通しも出ている。憲法が保障する労働基本権を否定したままサムスンが数十年間にわたり無労組経営方針を固守できた背景には、オーナー一家のこだわりがあった。サムスンが約束した「未来志向的で健康な労使文化の確立」を実現するためには、サムスン電子とサムスン物産名義の立場文ではなく、オーナー一家の国民向けの謝罪を先に示さなければならない。

 専門家は、サムスンが会社内の“御用労組”を解散させ、組合員たち自ら立ち上げた労組と団体交渉を結ぶ時、初めて無労組経営の放棄を認められると指摘する。サムスンはいわゆる「S文書」と呼ばれたグループの労使戦略文書によって、昨年3月まで“御用労組”を作り社員の労組設立と活動を妨害した。いまも絶対多数のサムスン社員が労働組合を恐れるのはそのためだ。サムスンは、まだ「無労組経営」を諦めてはいない。

//ハンギョレ新聞社

ソン・ダムン社会政策チーム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/921714.html韓国語原文入力:2019-12-23 02:32
訳H.J

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