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サムスン、定期人事・作業計画に支障…「帝王的オーナー・システム改革すべき」

登録:2019-12-18 23:50 修正:2019-12-24 08:54
自ら経営危機を招いた“法を超えたサムスン” 

労組破壊工作をした役員に対する実刑判決に“短い反省文” 
「申し訳ない…健全な労使文化を確立する」 
「無労組」の放棄など、刷新の見通しもあるが 
取締役会が崩壊し、企業運営の難関に直面
サムスン電子のイ・ジェヨン副会長が今月6日午後、ソウル瑞草区のソウル高等裁判所で開かれた国政壟断破棄差戻し審第3回公判に出席するため、車から降りている=カン・チャングァン記者//ハンギョレ新聞社

 「労使問題で多くの方々にご心配をかけると共に、ご期待を裏切る結果となり、大変申し訳ございません」

 サムスングループは18日、サムスン電子とサムスン物産の名義で、短い「立場文」を発表した。サムスン電子サービス労働組合の結成と活動を妨害した疑いで、サムスン電子のイ・サンフン取締役会議長など多数の元・現職役員が17日、実刑を言い渡されたことによるものだ。サムスンは同文で、「過去、会社内で労組に対する見方と認識が国民と社会の期待に及ばなかったことを謙虚に受け止める」としたうえで、「役員社員を尊重する精神に基づき、未来指向的で健全な労使文化を確立していく」との立場を明らかにした。一部では今回のことを踏まえ、サムスンが全面刷新に乗り出すという期待も高まっているが、サムスン電子は相次いで表面化している「オーナー・リスク」のため、正常経営も厳しい状況だ。

 現在サムスン電子は、刷新を決定し推進するコントロールタワーが事実上崩壊した。取締役会がきちんと運営されるかどうかは不透明だ。イ・サンフン取締役会議長が身柄を拘束されたことで、取締役会に大きな穴が空いた。イ・ジェヨン副会長は今年10月末に任期を終え、3年目にして登記取締役から退いた。主要株主の国民年金などの再任反対を憂慮した決定という分析が多かった。社内取締役としては事業部門長のキム・ギナム取締役や、キム・ヒョンソク取締役、コ・ドンジン取締役3人だけが残っている。彼らは半導体やスマートフォン、家電などの事業の責任者で、労使関係の改編のような全社にわたる業務には不慣れで、主導権も持っていない。その場しのぎの対策ではあるが取締役会議長代行を選出すべきだという意見もあるが、議論が進んでいないという。サムスン電子のある役員は、「取締役会の運営について、まだ話し合われたことはないと聞いている」と語った。取締役会の議決や審議を経ず、全面刷新案を作成するのは困難だ。取締役会は商法上、中核の意思決定機構であるからだ。

 正常な企業運営も難関にぶつかっている。定期人事が数週間も遅れている。サムスングループは2010年以後、毎年12月第一週にグループ社長団と役員人事を発表してから、順次職員人事を行ってきた。サムスン電子の関係者は、「人事について、内部でなにも聞いていない」と語った。17日、サムスン電子人事チーム長のパク・ヨンギ副社長(懲役1年、執行猶予2年)の人事ラインは、労組解体事件で次々に実刑を言い渡された。現職の人事チーム長のパク・ヨンギ副社長をはじめ、人事チーム役員のシン・ヒョンジン常務(懲役1年、執行猶予3年)、ペ・イルファン常務(懲役1年、執行猶予2年)などが有罪判決を受けた。人事チームがこのような状況で、人事が円滑に行われることは難しい。また、他のサムスン電子関係者は「定期人事が来年3~5月頃に持ち越される可能性が高くなった」と話した。人事が先送りされたことが全くなかったわけではない。国政壟断事件に巻き込まれ、グループの指揮部の役割を果たした未来戦略室が解体された当時、2016年末の定期人事が翌年5月に行われた前例がある。

 人事が遅れたことで、事業計画の樹立にも支障が生じている。今月16日から、サムスン電子は事業部別に「グローバル役員会議」を掲げて来年の事業計画を立てている。しかし、定期人事が行われず、計画の樹立と実行の主体が流動的だ。定期人事で交代するかもしれない役員が事業計画を主導するわけにはいかない。携帯電話事業部の部長級幹部は、「ハンギョレ」との電話インタビューで、「スマートフォン事業戦略に関する具体的な輪郭は出ているが、誰が舵取りをするかが明確でないため、事業の不確実性を懸念する声が内部で高まっている」と話した。

 企業経営や支配構造の専門家らは、サムスンが「四面楚歌」に置かれた根本的な原因を「オーナー・システム」に求めている。創業者のイ・ビョンチョル会長以来続いてきた無労組経営原則はもちろん、イ・ジェヨン副会長への継承のための違法行為や便法行為が司法処罰の対象になっている状況だ。漢陽大学のイ・チャンミン教授(経営学)は、「専門経営者が会社と株主の利害よりも、オーナーの意思と利害を優先せざるを得ない帝王的システムの中で、致命的な問題が浮き彫りになっている。特にサムスンは、『管理のサムスン』という言葉があるように、他のグループよりその傾向が強い」とし、「(過去とは異なり)企業の規模が非常に大きくなった状況で、専門経営者に権限と責任を明確に委任する形に変えていかなければ、似たような問題が繰り返される恐れがある」と指摘した。

キム・ギョンラク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/921373.html韓国語原文入力:2019-12-18 22:40
訳H.J

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