韓国と米国が8~10年間も閉鎖されたまま放置されていた原州(ウォンジュ)、富平(プピョン)、東豆川(トンドゥチョン)にある米軍基地4カ所を直ちに韓国に返還し、基地の環境汚染浄化問題は今後継続協議していくこととした。龍山(ヨンサン)米軍基地返還のための本格的な手続きも開始される。基地の返還後にも環境汚染の責任を問い詰める枠組みを設けたが、米国側の合意を引き出すまでには困難が予想される。
政府は11日、平沢(ピョンテク)の米軍基地「キャンプ・ハンフリーズ」で米国と第200回SOFA(在韓米軍地位協定)合同委員会を開き、このような内容の米軍基地返還原則に合意した。米国が今回直ちに返還することにした米軍基地は、原州の「キャンプ・イーグル」と「キャンプ・ロング」、富平の「キャンプ・マーケット」、東豆川の「キャンプ・ホビー」シア射撃場」の4カ所だ。これらの基地は、2009年3月から2011年10月の間に閉鎖されたが、汚染浄化基準および責任を巡る韓米間の意見の対立により今まで返還が遅れてきた。これらの地域では、汚染拡散の可能性と開発計画の支障で困難を来しているという住民請願と早期返還要請が提起されてきた。
政府はこれらの基地の返還を受け、汚染浄化責任▽在韓米軍が現在使用している基地の環境管理強化▽SOFA関連文書改正の可能性に対する協議持続という条件を付けた。イム・チャンウ国務調整室在韓米軍基地移転支援団長は「米側との協議には相当の時間がかかる反面、基地返還問題は至急解決しなければならない課題なので、今後協議を持続するという条件の下に4カ所の基地の即時返還に合意した」と明らかにした。
政府は返還を受けた4カ所の基地に対する環境浄化費用をひとまず負担し、今後米国との協議を通じて米国側の責任が明らかになれば費用を請求する計画だ。4カ所の基地の汚染を浄化するには、ダイオキシンが検出されたキャンプ・マーケットに773億ウォン(約70億円)余りがかかるなど、今後2年間に総額1100億ウォン(約100億円)程度が投入されると推定される。残りの基地は、揮発油や鉛のような重金属による汚染が大部分だ。キャンプ・ロングに200億ウォン、キャンプ・ホビーに72億ウォン、キャンプ・イーグルに20億ウォンの浄化費用が予想される。
韓米双方は、龍山基地については本格的な返還手続きに入ることにした。龍山の外国軍駐屯地としての歴史を終了させ、龍山公園の造成計画が遅れないよう返還手続きを開始することにしたと政府は説明した。今回の合意で、政府とソウル市が2027年までに完工することにした龍山公園造成計画にも弾みがつくと見られる。
環境汚染の責任を問い詰める両国間協議は、難航が予想される。米国が日本やドイツなどで米軍基地を返還した後、汚染に対する責任を負って浄化費用を負担した事例はまだない。米国は今回返還した4カ所の基地の環境が汚染されているという事実には同意しながらも、これらの汚染程度が「人間の健康に対して広く知られ差し迫った実質的な危険」(KISE原則)には該当しないと主張していると伝えられた。