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北朝鮮のキム・ヨンチョル委員長、トランプ大統領に「我々はこれ以上失うものがない」

登録:2019-12-09 22:45 修正:2019-12-10 07:45
「敵対行動に出れば、事実上すべてを失う」というトランプ大統領の発言に強く反発 
「また老いぼれと呼ばなければならない時期が来るかも」
北朝鮮の金正恩国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が6月30日、板門店軍事境界線の前に立っている//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が敵対的に行動すれば、事実上すべてを失うだろうというドナルド・トランプ米大統領の警告に、北朝鮮が強く反発した。

 キム・ヨンチョル朝鮮アジア太平洋平和委員会委員長は9日に発表した談話で、「トランプは(北)朝鮮に対してあまりにも知らないことが多い」としたうえで、「我々はこれ以上失うものがない」と述べたと、「朝鮮中央通信」が報道した。米国が、強力な制裁などで北朝鮮に圧力をかけている中、これ以上使用する圧迫手段が残っておらず、北朝鮮が名分を持っていると判断をしていることを示している。

 これに先立ち、トランプ大統領は8日(現地時間)、ツイートに「金正恩は非常に賢い。そして、彼は敵対的に行動すれば、失うものがあまりにも多い。事実上すべてだ」と書いた。前日には記者団に「金委員長が敵対的に行動すれば、私は驚くだろう」と述べたが、その後北朝鮮が東倉里の西海衛星発射場で「重大な試験」を行ったと発表したことで、警告のレベルをいっそう引き上げたのだ。

 トランプ大統領はさらに、「彼は(昨年6月)、シンガポールで私と強力な非核化の合意に署名した」とし、「彼は米大統領との特別な関係を無効にしたくないだろうし、(来年の)11月の米大統領選挙への介入を望まないだろう」と書き残した。北朝鮮が緊張を高める行動を取った場合は、自身の再選に悪影響を及ぼしかねないとみて、自制を求めたものとみられる。トランプ大統領は警告を発しながらも、「金委員長は関係の無効化を望まないだろう」と述べ、首脳間の直接衝突は避ける態度を示した。

 これに対し、キム・ヨンチョル委員長は最近、トランプ大統領の対北朝鮮発言に対し「本当に失望を禁じ得ない」とし、「トランプが非常に焦っていることが読み取れる」と指摘した。

 キム委員長は、非核化交渉の動力だった朝米首脳間の信頼まで揺らぎかねないという警告を発した。彼はトランプ大統領に対し、「軽率で落ち着きのない年寄りなので、また『老いぼれ』と呼ばなければならない時期が来るかもしれない」とし、2017年、朝米が炎と怒りなどの舌戦を繰り広げていた頃、北朝鮮がトランプ大統領を指して使用した「老いぼれ」という表現を再び取り出した。そして、「このまま続けていけば、私はトランプに対するわが(金正恩)国務委員長の認識も変わる可能性があると思う」と警告した。

 その一方で、キム委員長は、「わが国務委員長は、米国の大統領に対して、まだいかなる刺激的な表現も使っていない」とし、「もちろん自制している可能性もあるが、これまではなかった」と強調したことは注目に値する。今のところ、トランプ大統領に対する信頼に期待をかけ、態度の変化を促そうとする北朝鮮側の考えがうかがえる。キム委員長は「年末が近づいている」とし、「激突の秒針を止める意志と知恵があるなら、そのための真剣な悩みと計算に多くの時間を投資する方が、今のように虚勢を張ったり、脅しをかけるような表現で苦笑を誘うよりも賢明な処置だろう」と付け加えた。

パク・ミンヒ記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/920178.html韓国語原文入力:2019-12-09 21:11
訳H.J

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