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北朝鮮、「韓ASEAN首脳会議への出席は困難」…特使派遣も断る

登録:2019-11-22 06:50 修正:2019-11-22 11:31
「文大統領の親書はありがたいが 
行くべき理由が見つからない」
文在寅大統領が昨年9月18日午後、平壌の朝鮮労働党中央委員会本部庁舎ロビーで金正恩国務委員長と首脳会談開始前に握手を交わしている=平壌写真共同取材団//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が21日「(金正恩)国務委員会委員長が、(韓-ASEAN特別首脳会議が開かれる)釜山に行くべき理由を見つけられなかったことについて理解してほしい」と述べた。

 北朝鮮の「朝鮮中央通信」は、「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が5日、(金正恩)国務委員長が今回の(韓-ASEAN)特別首脳会議に参加するよう招待する親書を送ってきた」とし、このように述べた。

 コ・ミンジョン大統領府報道官は「文大統領が4日、母親の死去に際しての金委員長の弔意文(10月30日)に対する返信を送った」と明らかにした。コ報道官は、「韓-ASEAN特別首脳会議に金委員長が出席できれば、朝鮮半島の平和定着に向けた南北共同努力を国際社会の支持に拡散させるのに役立つという意思を表明した」と説明した。これに先立ち、昨年11月14日、シンガポールで開かれた第20回韓-ASEAN首脳会議の際、2019年に韓-ASEAN特別首脳会議を韓国(25~26日、釜山)で開くことが決まっており、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が金正恩委員長を釜山へ招待することを初めて提案した。

 「朝鮮中央通信」は「送られてきた親書が国務委員に対する真なる信頼と期待が込められた招待なら、ありがたく思わない理由はない」と謝意を表した。さらに、「北南関係を解決するための新たな契機と環境を作ってみようという文大統領の苦悩も十分理解している」と付け加えた。これは、ハノイでの第2回朝米首脳会談で合意が見送られて以来、悪化傾向にある南北関係の現実にもかかわらず、南北首脳の間にそれなりの“信頼関係”が維持されていることを示す表現と言える。

 金正恩委員長の釜山訪問問題は、朝米の激しい駆け引きと長期間の膠着状態から抜け出せずにいる南北関係のため、早くも実現は難しいと見られていた。そのため、金委員長の欠席自体は目新しいニュースではない。ただし、韓国政府は釜山特別首脳会議を冷え込んだ南北関係における変化の契機にするため、様々な案を模索してきた。韓国政府は、金委員長の釜山訪問に必要な準備を進めると共に、特使の訪韓も進めてきた。北朝鮮の権力序列2位のチェ・リョンヘ最高人民会議常任委員長と金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党中央委第1副部長の訪問を非公開の窓を通じて北朝鮮側に打診してきたのが代表的だ。

 しかし、金委員長はそれも拒んだ。「文大統領の親書が届いた後も、何度も国務委員長が来られなければ特使でも訪問してほしいという要請を送ってきたことからもよく分かる」という「朝鮮中央通信」の報道が、「特使訪韓」要請に対する答えであるわけだ。

 金委員長が釜山訪問はもちろん、特使の派遣さえ受け入れなかった事実と関連し、「朝鮮中央通信」は「はっきり言うが、物事をうまく運ぶためには時と場所を賢く選ばなければならない」と述べた。そして「今が北南の首脳たちが会うべき時なのか、考えざるを得ない」と問い返した。北朝鮮は南北の間で首脳会談や特使訪問を行うには不適切だと判断した根拠として、大きく三つを挙げた。

 第一に、「南朝鮮保守勢力」の激しい「反北朝鮮」の声だ。「朝鮮中央通信」は「完全に曇ってしまった南朝鮮の空気は、北南関係について非常に懐疑的だ」と指摘した。そして、「南朝鮮の保守勢力は、現政権を 『親北朝鮮政権』と中傷し、北南合意の破棄を掲げ、我々に対する非難と攻撃に躍起になっている」と付け加えた。自由韓国党を含む保守陣営の「反北朝鮮」ムードが南側の障害物だという主張だ。

 第二に、文在寅政府のいわゆる「外勢への依存」に照準を合わせた。「朝鮮中央通信」は「南朝鮮当局も北南の間で提起されている問題を民族協力ではなく、外勢への依存で解決しようとする誤った立場から脱することができないのが厳然たる事実だ」と主張した。さらに、キム・ヨンチョル統一部長官が米国を訪問し、米政府・議会の要人らと南北関係の改善と朝米交渉の進展案を話し合ったことを「物乞い行為」と非難した。

 第三に、「複雑な国際会議の場」も問題視した。「朝鮮中央通信」は「多国間協力の場で北南関係を議論しようというのについては首を傾げざるを得ない」とし、「(文在寅政府の)『新南方政策』の片隅に北南関係をこっそり組み入れようとする不純な試みに黙って従う我々ではない」と主張した。主人公ではなく、多くの首脳のうちの一人としての訪韓は断るというわけだ。実際、釜山特別首脳会議に出席するASEAN首脳たちも、文大統領の金委員長の招待方針を皆歓迎したわけではなかったという。ASEAN首脳としては、金委員長または金委員長の特使が釜山を訪問すれば、韓-ASEAN協力問題が世論の関心から消えざるを得ない現実を懸念していると、消息筋は伝えた。

 「朝鮮中央通信」はこのような理由を並べ、文大統領の招請を「時と場所」が合わない「枯れ木に水を差すようなもの」だと指摘した。そして、「板門店と平壌(ピョンヤン)、白頭山(ペクトゥサン)で交わした約束が何一つも実現していない今、形だけの北南首脳の再会はむしろ行わない方が良い」と述べた。「先に首脳同士の合意を実行せよ」と求めているのだ。同時に、「時と場所」が合う別の機会を模索して、今回は見送るということだが、それがいつになるかについては見通しが立たない状況だ。「朝鮮中央通信」は、「(韓国側の)不毛な精神的土壌に自主的決断がいつ芽生えて育つのか、見守るしかない」と述べた。金委員長の訪韓は昨年9・19平壌首脳会談の合意事項(「近いうちにソウルを訪問する」)だが、まだ履行されていない。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/917973.html韓国語原文入力:2019-11-22 02:39
訳H.J

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