大統領府は3泊5日にわたる文在寅(ムン・ジェイン)大統領の国連総会への出席と韓米首脳会談の最大の成果として、韓米両国が北朝鮮と敵対を終了させ、関係を「質的に転換」することへの意志を示すなど、「朝鮮半島平和プロセスの再稼動」を挙げた。大統領府はまた、最近の朝米関係など情勢の流れを踏まえ、11月に釜山(プサン)で開かれる韓-ASEAN特別首脳会議に北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が出席する可能性もあると、期待混じりの見通しを示しているという。
文大統領のニューヨークの日程が終了した25日、大統領府の説明を総合すると、大統領府は今回の韓米首脳会談で、韓米両国が北朝鮮との関係を積極的に解決し、「質的転換」をしようということで意見の一致を見た点を高く評価している。前日、韓米首脳が「両国が北朝鮮との関係を転換し、70年近く持続した敵対関係を終わらせ、朝鮮半島に恒久的な平和体制を構築することへの意志を再確認した」という大統領府の公式発表がこれに当たる。韓米首脳会談関連の大統領府の公式発表文は、すべての表現において米国側との調整を経たものだ。注目に値するのは、この発表文で韓米の北朝鮮との関係を「改善」を超えて「転換」するという新しい表現だ。単純化すれば「改善」が量的な変化を意味するなら、「転換」は質的な変化を志向すると言える。その変化の方向は「70年間の敵対関係の終焉」と「朝鮮半島における恒久的平和体制の構築」として例示された。
大統領府はドナルド・トランプ米大統領が文大統領との会談前の記者会見で、「行動はまったく考慮していない。行動すべき理由がない」と強調した事実も大きく意味づけしている。トランプ大統領が「私が大統領にならなかったら、(今頃米国は)北朝鮮と戦争をしているだろう」と付け加えたことから、トランプ大統領の言う「行動」とは「軍事行動」を意味すると大統領府は分析している。要するに、トランプ大統領が「軍事行動」を排除し、対話と交渉で問題を解決していくという明確なシグナルを、文大統領との会談で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に伝えたという解釈だ。
韓米首脳会談直後、対北朝鮮超強硬派のジョン・ボルトン前補佐官の後任のロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安保担当)とチョン・ウィヨン国家安保室長が24日(現地時間)、初顔合わせを兼ねた初の会談を行い関心を集めたが、非常に友好的な雰囲気の中で行われたという。
大統領府は、文大統領が国連総会の演説で明らかにした「非武装地帯(DMZ)の国際平和地帯化」の提案がかなり良い評価を受けたとし、鼓舞された雰囲気だ。この提案は、国際社会の後押しを受け、非武装地帯の対人地雷38万個を除去すると共に、国連機関と生態・平和機関を誘致し、非武装地帯を分断された朝鮮半島の平和と安全を高める「平和の回廊」にしようという構想だが、アントニオ・グテーレス国連事務総長がこの提案に対して肯定的な反応を示したという。
さらに大統領府は、この提案が実践段階に入れば、昨年9月の平壌(ピョンヤン)首脳会談で合意した9・19軍事分野の合意書とともに、南北の軍事対峙を劇的に緩和し、事実上北朝鮮に「体制保証」の相応措置を提供する効果もあると期待している。
大統領府は、朝米実務交渉が早ければ2週間以内に、遅くとも1カ月以内には開かれると見通している。大統領府はさらに、朝米実務交渉が順調に進み、3回目の朝米首脳会談が現実味を帯びれば、11月に釜山(プサン)で開かれる韓-ASEAN特別首脳会議に金委員長が出席する可能性もあると期待を寄せている。ソ・フン国家情報院長が24日、国会情報委員会に出席し、朝米協議の進行状況によって金委員長が11月に韓国を訪問する可能性があると述べたが、様々な前提がついているとはいえ、何らかの根拠もなくそのような答弁をしたとは思えないということだ。文大統領は先月「ASEAN10カ国の首脳が一堂に会する席に金委員長が同席すれば、朝鮮半島・東アジアの平和を向けて意味のあるきっかけになると期待している」述べた。大統領府はこうした楽観的な見通しの根拠として、朝米首脳の相互信頼が確固である点を挙げた。
大統領府は、韓米同盟の堅固さを再確認した点も、今回の首脳会談の成果に挙げている。コ・ミンジョン大統領府報道官は前日、「朝鮮半島と北東アジアの平和および安保において、韓米同盟がゆるぎない主軸である点を両首脳が再確認した」と発表した。韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了で、韓米同盟に亀裂が走っているのではないかという国内保守層の憂慮に反論したわけだ。