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[ニュース分析]「検察出頭」したチョ・グクはなぜ黙秘権を行使したのか

登録:2019-11-16 08:29 修正:2019-11-16 11:30
法に保障された権利、活用はまれ 
検察が立証しようとする部分を確認し 
拘束の可能性は低いという判断も作用したもの 
法廷で争う計画という戦略と見られる
チョ・グク前法務部長官=資料写真//ハンギョレ新聞社

 「いちいち答えて釈明するのも苦しく、不要だと判断した」

 「子どもの入試・私募ファンド」に関する疑惑をかけられているチョ・グク前法務部長官が14日に検察に出頭し、8時間ものあいだ黙秘権(供述拒否権)を行使した。これまではかけられた疑惑に対し本人の立場を積極的に明らかにしてきたチョ前長官の通常の態度に比べると、異例の行動だ。チョ前長官はなぜ供述を拒否したのか。

■発言の一貫性などの影響という分析

 チョ前長官が検察出頭後に供述を拒否した理由をめぐり、いくつかの解釈が出ている。まず、人事聴聞会などでの過去の発言と関連があるという見方だ。部長検事出身のイ・テハン弁護士は「聴聞会の時の立場をそのまま供述すれば、検察が収集した資料と一致しない可能性がある。また、検察の資料について供述する過程で過去の主張との一貫性が不足した場合、本人に不利に働きかねないと判断したようだ」と話した。

 検察が捜査した内容を確認しながら、時間を稼ぐ戦略という分析もある。ある弁護士は「チョ前長官が検察の取り調べでの質問の内容を聞いてメモし、これを基に裁判でどのように対応するかを判断しようとしたようだ」と話した。

 チョ前長官が供述を拒否しても検察の身柄処理に影響はないと判断したという見方もある。供述拒否権があまり使われない理由は、逮捕状請求など検察が逆攻勢に出る口実になりうるためだが、チョ前長官がこのような可能性を低く見た可能性があるということだ。チョ前長官はすでに配偶者のチョン・ギョンシム東洋大学教授が拘束されており、家宅捜索などを通じて検察の証拠収集もかなり行われている状況だ。検察は慣例的に夫婦2人を同時に拘束はしない。

 チョ前長官が検察の捜査で供述を拒否し、関連疑惑は今後、法廷で究明される可能性が高くなった。チョ前長官は弁護団を通じて前日出した立場文で、「長い間捜査を行ってきたので、捜査チームが起訴の可否を決めれば、法廷ですべてについて是々非々を判断し真実を明らかにするつもりだ」と述べた。

 チョ前長官が供述を拒否したことで、検察もチョ前長官に関する核心の証拠を法廷で公開するという見方もある。イ・テハン弁護士は「検察の立場としては、供述拒否権を行使する人に核心的な質問をする必要はない」とし、「(裁判に進めば)検察が法廷で核心の証拠を提示する可能性もあるだろう」と話した。

■保障された権利、「黙秘権」…活用はまれ

 供述拒否権は憲法と法律が規定した権利だ。刑事訴訟法上、検事と司法警察官は被疑者を尋問する前に、供述拒否権を告知しなければならない。刑事訴訟法が専門のチョ前長官は、自分に与えられた権利を十分に活用したのだ。

 ただし、チョ前長官のようにすべての事案に対して供述拒否権を行使したケースは珍しい。検察出身のユ・ヒョンシク弁護士は「検事と弁護士生活20年の間、公安事件を除いて実務では供述拒否権を行使する事例は経験したことがない」と話した。過去に供述拒否権を行使したケースとして、ハン・ミョンスク元首相がいる。ハン元首相は2009年12月、収賄の容疑で逮捕された後、捜査と裁判の過程で一貫して検察の質問に供述拒否権を行使した。最近「ファストトラック事件」で検察の取り調べを受けたファン・ギョアン自由韓国党代表も供述拒否権を行使した。

 被疑者が供述を拒否すれば、捜査機関は収集した証拠と他の事件関係者の供述をもとに、その被疑者の容疑を判断することになる。捜査を受ける立場としては不利な供述をしないということもあるが、積極的に釈明できる機会を使わないということでもある。「両刃の剣」になりうる対応方法が「黙秘権行使」だ。

パク・ジュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/917236.html韓国語原文入力:2019-11-15 23:34
訳C.M

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