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「学歴既得権者、差別隠ぺいするため入試公正性を宣伝…大学序列打破すべき」

登録:2019-11-05 03:09 修正:2019-11-05 09:46
4日「大学入試の公正性を超え特権世襲教育体制の解体を求める時局宣言」 
国史編纂委員会のイ・マンニョル元委員長などの著名人を含む1492人署名
「大学入試の公正性を超え特権世襲教育体制の解体を求める時局宣言」の署名者らが4日午前、ソウル太平路の韓国言論会館で大学序列の打破と公教育正常化に向けた制度の導入などを求めている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 政府が「定時(1年の特定の時期に行われる大学入試。定時募集)の比重拡大」案を推進する中、4日、教育・文化・宗教界の関係者など1492人が、定時の拡大に反対し大学序列の打破を求める時局宣言を行った。大学入試の公正性を巡る問題の背後に隠された学歴による差別を抜本的に解消しなければ、教育の正常化は実現できないという声が市民団体を中心に高まっている。

 この日午前、ソウル中区の韓国言論会館では、「大学入試の公正性を超え特権世襲教育体制の解体を求める時局宣言」記者会見が開かれた。この時局宣言には、一般市民や教育市民団体の関係者をはじめ、国史編纂委員会のイ・マンニョル元委員長、高麗大学のカン・スドル教授、ジャンバルジャン銀行のホン・セファ代表、梨花女子大学のチョ・ギスク教授、長老会神学大学大学院のパク・サンジン院長ら学界や文化界、宗教界の著名人が大勢参加した。

 彼らは時局宣言文で、過度な入試競争によって歪曲された教育現場、そして教育が社会的不平等の再生産装置、特権世襲の手段になっている現実に対して、深刻な憂慮を示した。彼らは「韓国の教育は入試教育に極端に偏り、何よりもまず青少年に成績をめぐって互いに競争することを学ぶように煽っている」とし、「教室から始まる成績による有形無形の差別は、少数に対しては根拠のない優越意識を、大多数の青少年には不平等な社会に対する怒りと挫折を内面化させる」と批判した。イ・マンニョル元委員長はこの日の記者会見で「韓国の入試地獄はより広く、より深くなり、今や子供たちを殺す段階に至った。これは既成世代(社会の中核を担っている旧世代)が後続世代に対して犯している重大な罪悪」だと批判した。

 結局、入試競争は学閥による差別から始まっているという指摘が相次いだ。彼らは「出身学歴が社会的身分を決めるため、皆が大学入試に縛られ、入試競争の『地獄絵図』が描かれる」とし、「にもかかわらず、政府がチョ・グク事態で意図せず露わになった韓国の教育の問題を、単に修能(秋に全国一斉に行われる大学入学1次試験。大学修学能力試験)の比重拡大で解決しようとしているのは非常に遺憾であり、憂慮すべきこと」と批判した。

 「入試の公正性」という目標の持つ限界を指摘する声もあがった。彼らは「学歴による差別を隠ぺいするために学歴既得権者は入試の公正性を宣伝するが、入試が公正に管理されたからといって、それが不平等の再生産装置だという事実が変わるわけではない」とし、「かつては定時で選抜していたところに随時募集を増やしたのに、今になって朝三暮四(うまい言葉や方法で人をだますこと)的に再び定時を拡大しても問題の解決にはならない」と指摘した。彼らは修能の拡大方針についても、「選択肢からの正解探し教育を強化するものであり、『未来教育』の視点から見て非常に不適切な政策であるため、即刻取り消すべきだ」と主張した。

 大学序列打破に向けた青写真も示された。彼らは「現在のように尖った三角形の形をした大学序列体制が、広いはしご形に変わるだけでも、入試競争の圧力は著しく弱まる。その基盤の上に、学生たちがあえて大学に行かなくてもいい条件を作っていこう」と提案した。また「さらに一歩踏み込んで、出身校や学校の履歴により入社・就職段階で志願者を差別するあらゆる制度を正さなければならない」とし、公共機関のブラインド採用をすべての民間企業に拡大する案などを提示した。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/915774.html韓国語原文入力:2019-11-04 20:11
訳D.K

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