ムン・ヒサン案の内容とは
韓日企業と国民の寄付を募り
和解・癒やし財団の残高60億ウォンと合わせて
慰謝料を支給して問題の解決を図る案
政府と事前協議されたか
ムン議長「政府は承知しているだろう」
共に民主党「事前に協議なかった…慎重を期すべき」
日本政府は否定的態度示す
被害者・専門家らの懸念
「被災者を助けるようなものか」基金案の撤回を要求
性急に妥協案作りに奔走するよりは
十分な論議後に解決策の模索すべき
ムン・ヒサン国会議長が、日帝強制徴用被害者への賠償問題の解決策として、韓日企業と国民からの寄付と「慰安婦基金」などで財源を確保しようと提案したのに対し、強制動員・慰安婦被害者たちが反発している。今月23日0時に迫った韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了を控え、性急に案を出したのではないかという指摘もあり、日本より韓国の中で議論になる格好だ。ムン議長は5日、日本早稲田大学講演に続き、6日の東京駐在韓国特派員たちとの懇談会で、強制動員と慰安婦の被害問題まで包括的に解決する形の基金を作る立法を推進すると明らかにした。ムン議長が提案した「1+1+アルファ」案は、韓日企業と国民の自発的な寄付に加え、2015年韓日政府間合意で作られたが解散された「和解・癒やし財団」に日本政府が拠出した基金の残高60億ウォンで、日本企業の賠償責任を肩代わりするのが主な内容としている。この財源で被害者らに「慰謝料」が支給されれば、日本企業の賠償責任が「代位弁済」されると見なし、「裁判上の和解」が成立する方式で問題を解決したい考えだ。
ムン議長は、政府側と協議したのかという質問に対し、「承知しているだろう」と答えた。しかし、共に民主党は慎重な態度を示している。共に民主党関係者は「わが党と協議した提案ではない」とし、「政府と議論し、日本側の雰囲気がどうなのか、被害者と国民が同意するのかなどを総合的に検討しながら動かなければならない」と述べた。
日帝強制動員・慰安婦被害者や専門家らの間では懸念の声が高まっている。光州の市民団体「勤労挺身隊女性と共にする市民の会」(市民の会)は6日、光州市西区治坪洞(チピョンドン)光州市議会市民疎通室で記者会見を開き、ムン議長が提案した基金設立案を早期に撤回するよう求めた。
市民の会は「過去にも1995年に日本軍慰安婦被害者らに対して、民間基金を支給しようとして反発を買った『アジア女性基金』と、2015年に謝罪もなく10億円を受け取る方式で歴史問題を取り繕うとして国民が憤りを感じたことがあった」としたうえで、「被害者たちにお金さえ与えれば良いという発想は、過去と同じ過ちを繰り返すもので、遺憾極まりない」と述べた。市民の会のイ・グゴン代表は、「ムン議長は、強制徴用被害の解決と被災者などに義援金を送って助けることを同様に扱っている」とし、「今回の発言は被害者たちに非常に侮辱的で、これまで守ってきた尊厳を損ねるようなものだ」と指摘した。
「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」も同日、声明を発表し、「韓日関係の改善という美名のもとに、加害国政府の立場だけを考慮して和解・癒やし財団の残余基金まで含めて基金を作るということは到底容認できない」として、(ムン議長に)謝罪を求めた。
聖公会大学のヤン・ギホ教授(日本学)は、「韓国と日本の企業が資金をだすとは限らず、韓国最高裁(大法院)の判決が出た状態で、国民がそのカネを支払う名分もない」とし、「被害者も同意できない内容だ」と指摘した。
これをめぐり、政府や政界がGSOMIAの延長を要求する米国の圧力に追われ、性急に妥協案作りに奔走するよりは、被害者たちと時間をかけて議論しながら解決策を見出さなければならないという声もあがっている。日帝強制動員平和研究会のチョン・ヘギョン研究委員は、「強制動員などの問題は一時的に対応する性格のものではない。韓国政府が真相調査を続け、被害者に慰労金を与えるなど、最後まで責任を負う姿勢を示せば、日本も追いつめられるだろう。こうした中で交渉力も生まれる」と強調した。国家安保戦略研究院のキム・スクヒョン対外戦略研究室長は、「GSOMIAは日本の立場が変わらない限り、原則通り終了し、強制動員問題は時間をかけて被害者に会って、意見を聞いて解決すべきだ」と述べた。
ムン議長案に対しては、日本政府も否定的な態度を示したという。NHKは、日本政府関係者が「日本企業が費用を出すことが前提になっており、これまで明らかにしてきたように、日本としては受け入れられない」と述べたと報じた。