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ファンド・娘に関する疑惑から妻の起訴まで「1年のようだったチョ・グクの1カ月」

登録:2019-09-10 01:07 修正:2019-09-10 08:10
大学街でのろうそく集会など世論が沸き 
SNSなど過去の発言が「ブーメラン」となる
今月6日、国会法制司法委員会で開かれた人事聴聞会に出席したチョ・グク法務部長官=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9日、チョ・グク前大統領府民情首席を法務部長官候補者に指名した後、韓国社会は「チョ・グク大戦」と呼ばれる政治的・心理的内戦状態に陥った。激しい葛藤の末に文大統領が9日、チョ候補者を長官に任命したが、その後遺症がどれほど大きくかつ長く続くかは、簡単には予測できない。

 チョ・グク長官はソウル大学法科大学院教授出身で、「ろうそく政権」の旗を掲げた文在寅政府の初の民情首席だった。文大統領と支持者の宿願である「検察改革」の適任者に選ばれた彼は、民情首席として改革案を企画した後、これを実行に移すために法務部長官候補に指名された。

 内閣改造の発表当日、彼は聴聞会準備団事務所に出勤する際、李舜臣(イ・スンシン)が書いた漢詩を引用し、「誓海盟山の精神で公正な法秩序の確立や検察改革、法務部の革新など責務を果たす」と述べた。自分のフェイスブックの紹介文にも、「学問とアンガジュマンの弁証法」と書いた。「ポリフェッサー」という非難を一蹴し、社会改革のために現実に積極的に身を投じるという出師表だった。

 チョ長官の人事聴聞要請案が国会に送られた後、野党とマスコミの検証攻勢が本格化した。韓国社会主義労働者同盟(社労盟)に加入した前歴を皮切りに、私募ファンドや娘の大学・大学院の入学過程をめぐる疑惑が連日明るみに出た。

 チョ長官に対する世論が任命反対へ傾き始めたのは、娘をめぐる論議が広がってからだ。彼の娘が、高校時代に医学論文の第1著者となり、ソウル大学環境大学院と釜山大学医学専門大学院で奨学金を受け取った事実が報道されたことで、世論が沸いた。特に「公正」と「正義」を掲げた彼の娘が、一般人は近寄れない経路で進学した事実が知られると、大学街でろうそく集会が開かれるなど、若者が背を向け始めた。この過程で、チョ長官の“今”を作ったかつてのSNS上の“一喝”が、ブーメランとなって彼に返ってきた。

 チョ長官をめぐる議論で社会全体が揺れる中、与野党は聴聞会の日程も決められず、鋭く対立した。このような状況の中、検察は先月27日にチョ長官と関連した疑惑を捜査するため、ソウル大学と釜山大学など全国20カ所に対する強制捜査に入った。

 与野党は、紆余曲折の末、9月2~3日に聴聞会を開くことにしたが、証人採択の合意には失敗した。聴聞会が実現されなかったことを受け、共に民主党は2日、国会でチョ・グク候補者の記者懇談会を設け、10時間40分間にわたって進めた。チョ長官は史上初めて聴聞会を経ずに法務部長官に任命される予定だったが、与野党が人事聴聞報告書の再送付期限の6日に聴聞会を開くことで再び合意したことで、ついに聴聞会場に立った。チョ長官は聴聞会の最後の答弁で、「恵まれた階級で生まれ育ち、また恵まれた階級に属していたために、不平等の問題や富の世襲問題について鈍感だった」と告白した。聴聞会が終わる頃、検察はチョ長官の妻、チョン・ギョンシム東洋大学教授を、1回の召喚調査もなく私文書偽造の疑いで起訴した。

 文大統領は、東南アジア3カ国の歴訪を終えて6日に帰国した後、長考を重ね、9日午前にチョ長官の任命を決心した。カン・ギジョン大統領府政務首席は、「大統領が一つの事案についてこれほど多くの意見を聞いたことはない」と述べた。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/909113.html韓国語原文入力::2019-09-09 21:48
訳H.J

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