セウォル号の惨事の当日、海上で発見された安山市(アンサンシ)檀園高校の生徒A君が、脈があったにもかかわらずヘリコプターの緊急移送が行われなかったことが明らかになり、当時の救助過程に対する捜査要求が激しくなるものとみられる。
加湿器殺菌剤事件と4・16セウォル号惨事特別調査委員会(社会的惨事特別調査委員会、以下「社惨委」)は31日、救助過程と関連した中間調査の結果を発表し、捜索当時から政府の対応が不十分だったと指摘した。社惨委は、海上事故の場合漂流可能なエリアが広いので、漂流者を確認するためにヘリコプターの捜索活動が重要だったが、惨事当日の午後2時40分の映像資料を確認した結果、多くのヘリが彭木(ペンモク)港で待機中だったと明らかにした。実際、ハンギョレが確認した大統領府状況室と海洋警察状況室の午後6時45分の通話内容によると、海洋警察状況室長は「今現在、航空戦力で飛んでいるのは4台です」と話している。この日社惨委が公開した木浦(モクポ)海洋警察の状況報告書には、惨事当日二人目の犠牲者が発見された午前11時40分から、三番目の犠牲者となったA君が発見された午後5時24分まで、「ヘリ11台、航空機17機投入」と記載されていたが、実際に動員された航空機と捜索などのために飛行中の航空機の数に大きな差があるということだ。社惨委は、海洋警察が二番目の犠牲者の発見後、6時間近く救助者を探すのが困難だったのは、このような不十分な捜索のためだと判断した。A君は事故地点からわずか100メートル離れたところで救命胴衣を着た状態で発見された。
海洋警察がA君を性急に死亡者と断定した情況もあちこちで明らかになっている。A君が発見されてから20分後の同日午後5時44分、木浦海洋警察が作成した状況報告書には、「4.16 17:30 1010艦遺体1体(男性)を引き揚げ」と書かれている。生存の可能性を大きく考慮していなかったとみられる状況だ。この時刻は、この日の社惨委の発表で海洋警察所属の救急救助士がA君の酸素飽和度が0%で死亡したと判断した午後5時47分よりも早い時点だ。この日午後5時59分、医師と遠隔医療の連結がなされた後に実施した応急処置の結果、A君の酸素飽和度が69%まで上がり、脈が戻った時点よりも15分早い時点だ。ハンギョレが確保したの惨事当日午後6時18分の海洋警察状況室と大統領府状況室の通話内容を見ても、海洋警察状況室長は「17時30分に溺水した死亡者1人、1010艦で発見」と大統領府に報告している。社惨委はこの日、「救助の問題を追加調査し、犯罪の疑いが見つかれば捜査要請などの措置を取る予定だ」と明らかにした。
セウォル号の遺族らは、全面的な再捜査が必要だという立場だ。4・16セウォル号惨事家族協議会(セウォル号家族協議会)は2日、被害者家族らが特定したセウォル号惨事の責任者122人のうち公訴時効が残っている50人余りの責任を問う「私は告発する、国民告訴・告発人大会」を開く。300人余りの被害者家族と市民約3万5千人が告発人団に参加する意思を明らかにした。セウォル号家族協議会は、2日まで惨事当日を象徴する4万1600人の告発人団を集める計画だ。
市民団体などで構成された「4月16日の約束、国民連帯」もこの日、論評を出し、「(惨事から)5年6カ月が経った。すでに多くの証拠がなくなっており、責任を追求するための公訴時効も少なくなっている」とし、「社惨委はもっと奮起して調査を続けなければならず、政府と検察は早急に特別調査および捜査チームを構成し、セウォル号惨事の真実を明らかにして責任を問い、二度とこのようなことが繰り返されない基礎を作らなければならない」と明らかにした。