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殺伐とした平壌南北サッカー試合…ソン・フンミン「怪我なく帰ってきただけでも幸い」

登録:2019-10-18 06:05 修正:2019-10-18 07:37
統一部長官、「失望した」…録画中継行われず
今月15日午後、平壌の金日成競技場で開かれた2022年ワールドカップ・アジア2次予選Hグループ第3試合で、韓国のソン・フンミン(右側)と北朝鮮選手が激しくボールを争っている=大韓サッカー協会提供//ハンギョレ新聞社

 29年ぶりに平壌(ピョンヤン)遠征に行った韓国サッカー代表チームが北朝鮮選手たちの激しいプレーのため、互いに罵言を吐くなど、殺伐とした雰囲気で試合を行ったことが確認された。また、韓国選手団は冷ややかな対応を受け、ホテルの外の他の場所に出られないなど、かなり統制されていたことが分かった。

 15日午後、平壌の金日成(キム・イルソン)競技場で北朝鮮との2022年ワールドカップ・アジア2次予選Hグループ第3試合(0-0)を終えた韓国サッカー代表チームは、16日に中国北京を経て、17日早朝に仁川(インチョン)空港を通じて帰国した。

 2泊3日間平壌に滞在した韓国選手たちは、試合や訓練などの公式日程のほかは宿舎の高麗(コリョ)ホテルに滞在していたという。肉や海産物が入っている食材3箱は事前申告を行わなかったとの理由ですべて押収され、ホテルでの飲食だけで食事を済ませなければならなかった。これに先立ち、選手らは北京の韓国大使館にスマートフォンを預けてから北朝鮮入りした。

 代表団長として平壌を訪れた大韓サッカー協会のチェ・ヨンイル副会長は、「ホテルの職員たちは、ホテルの規定を教えてからはほとんど口を利かなかった。目も合わせず、質問しても答えなかった」と冷ややかな雰囲気を伝えた。さらに、「ホテルの外に出ることも、部外者が入ることもできなかった」と付け加えた。

 サッカー協会が17日午後、担当記者団に公開した試合の映像によると、両チームはいわゆる「戦闘サッカー」を彷彿させる神経戦と小競り合いを繰り広げた。前半6分、ナ・サンホ(FC東京)が空中ボールを争う過程で、北朝鮮の守備手、パク・ミョンソンを押した。転倒したパク・ミョンソンが神経質な反応を見せると、両チームの選手が集まった。この過程で、ファン・インボム(バンクーバー ・ホワイトキャップス)が北朝鮮選手に顔を殴られ、雰囲気はさらにエスカレートしたという。ファン・インボムが殴られる場面は中継映像に映らなかった。

 韓国代表は北朝鮮守備陣の強いプレスにより、前半戦には有効シュートが一つもなかった。無観客試合で、グラウンドで選手らが交わす言葉や作戦指示まで、そのままマイクに収められた。

 キャプテンのソン・フンミン(トッテナム)は帰国後、「北朝鮮のプレーがかなり激しかった。ひどい罵言も交わされた。北朝鮮の作戦だったのかもしれないが、誰が見ても荒いプレーをしており、敏感に反応していた」と伝えた。さらに、「試合に集中するよりは、けがをしないようにしようと考えた。こうした試合でけがもなく無事に帰ってきただけでも意味がある」と語った。

 当時、試合の記録によると、南北がそれぞれ2枚のイエローカードをもらうほど激しい試合をしたものと見られる。

 サッカー代表チームの帰国後、録画中継する予定だった「韓国放送」(KBS)などの地上波放送局は、放送画質が良くないという理由でこれを見送った。

 一方、キム・ヨンチョル統一部長官は国会外交統一委員会の国政監査に出席し、「国民の期待に応えられず、非常に残念に思う」と述べた。そして中継はもちろん、応援団も観客もない状態で(試合が)行われたことについて、「南北関係の停滞局面を反映しており、(韓国側の)応援団が入れない状況で、(北朝鮮が)公正を期したとも解釈できる」と述べた。キム・ムソン自由韓国党議員が「統一部長官が北朝鮮に対して非常に失望したというべきではないか」と指摘すると、キム長官は「非常に失望している」と答えた。

キム・ギョンム先任記者、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/sports/soccer/913676.html韓国語原文入力:2019-10-18 03:00
訳H.J

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