韓国軍が6月から延期してきた「独島(ドクト)防御訓練」を「東海領土守護訓練」に拡大し、25日に電撃的に開始した。政府が「韓日軍事情報保護協定」(GSOMIA)の終了を宣言して三日めのことだ。独島をはじめとする領土守護の意志を確認するための定例的訓練だが、日本がこの訓練をするたびに反発してきたという点で、GSOMIAの終了に続き日本を意識した性格もあると見られる。
今回の訓練には、韓国海軍の最精鋭に挙げられる第7機動戦団所属のイージス駆逐艦「世宗大王艦」(7600トン級)が初めて参加した。2008年12月に就役した世宗大王艦は、「SPY-1D」レーダー基盤の戦闘システムを搭載した韓国初のイージス駆逐艦だ。空中の標的を約1千キロメートル外から探知し、約20カ所の標的を同時に攻撃できる。海軍関係者は「第7機動戦団所属の戦力が参加したが、訓練は東海を管轄する1艦隊が主管する」と話した。
今回の訓練には陸軍特殊戦司令部も初めて参加した。国防部関係者は「陸軍特殊戦司令部の兵力数十人が訓練に参加し、海兵隊員らと共に独島に上陸した」と話した。陸軍特殊戦司令部が、独島に上陸したのも今回が初めてだ。海軍と海洋警察の艦艇は、世宗大王艦をはじめ10隻余り、陸・海・空軍の航空機は空軍の主力戦闘機F15Kを含め約10機が参加したと伝えられた。海軍関係者は「世宗大王艦と陸軍特殊戦司令部が初めて訓練に投入されたのは、領土守護にすべての力量を投じるという意志を表わすためのもの」とし「今回投入された戦力は、例年と比較して2倍程度に拡大した」と説明した。1986年から上・下半期に分けて実施されてきた独島防御訓練には、通常海軍の韓国型駆逐艦(3200トン級)とP3C海上哨戒機、海洋警察の艦艇、空軍のF15K戦闘機などが参加してきた。
海軍はこれに先立って、携帯メールを通じて「今日から明日まで東海領土守護訓練を実施する」として「訓練には海軍・海洋警察の艦艇と海軍・空軍の航空機、陸軍・海兵隊兵力などが参加する」と明らかにした。海軍は「軍は独島をはじめとする東海領土守護の意志を一層強固にするために、今回の訓練の名称を『東海領土守護訓練』と命名した」と付け加えた。チョン・ウィヨン大統領府国家安保室長は6日、国会運営委員会の全体会議で「今回の訓練は、陸・海・空軍がすべて参加することを構想している」と明らかにした。
軍が今年の独島防御訓練を東海領土守護訓練と命名し、海軍のイージス駆逐艦と陸軍特殊戦司令部を投じたことは、中国とロシアの軍用機の韓国防空識別区域(KADIZ)への無断進入とロシア軍用機の領空侵犯など、朝鮮半島周辺海域で安保脅威が増加していることに伴うものだ。先月23日には、中国とロシアの軍用機が東海で合同訓練を実施し、ロシアの早期警報統制機が独島領空を侵犯しもした。軍関係者は「ロシア軍用機の独島領空侵犯のような事件が再発することを容認しないという軍の強い意志が反映されたもの」と話した。
日本が独島の領有権を主張してこの訓練に反発してきたという点で、日本への対応の性格もあるものと見られる。軍は6月に実施する予定だった独島防御訓練を、韓日関係に及ぼす影響を考慮して二カ月以上延期してきた。今月2日に日本が韓国をホワイト国(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)から排除することを決め、15日の光復節前後に実施するのではないかとの観測があったが、国防部は「時期と規模は検討中」として曖昧性を維持してきた。
しかし、大統領府は今回の訓練が特定国家を想定したものではないと明らかにした。コ・ミンジョン大統領府報道官は「まさに私たちの主権と領土を守るための訓練」だとし、「すべての勢力に対する訓練であり、特定国家を想定して実施するものではない」と明らかにした。コ報道官は「気象状況など諸般の事項を考慮して訓練日を決めた」と付け加えた。