中ロ合同飛行の意図とは?
東海選んだ理由とは?
インド太平洋戦略と
米日・韓米同盟の多目的けん制
中ロ、昨年数回にわたってKADIZに進入
東海-南シナ海に範囲の拡張図る
領空侵犯した理由とは?
ロシアの独島領空侵犯めぐり分析分かれる
飛行中の「偶発的侵犯説」と共に
韓米日の軍事協力に亀裂を生じさせるためという分析も
ロシアと中国が23日、初めて長距離合同哨戒飛行訓練を実施し、韓国防空識別圏(KADIZ)に無断進入して、ロシア早期警戒管制機(偵察機)が独島(日本名・竹島)領空まで侵犯したのは、中ロ両国が米国の主導するインド太平洋戦略を牽制する目的が含まれていると見られる。ロシア政府が声明を発表し、今回の合同飛行が「世界安定と協力の強化」のための「予定された訓練」だと明らかにしたことからも、そのような意図が読み取れる。
中ロ軍用機によるKADIZへの無断進入は、今回が初めてではない。時間が経つにつれて頻度が高くなり、軍用機の飛行行動も攻撃的に変わった。朝鮮半島における高高度防衛ミサイル(THAAD)配備問題で韓中間の対立が激化した2017年には、1月と12月に中国の軍用機がKADIZに進入した。昨年、中国の軍用機は8回もKADIZに進入して飛行を行った。いちばん最近の2月23日には、偵察機と推定される中国軍用機1台が、異例にも鬱陵島(ウルルンド)と独島の間を通過飛行し、波紋を広げた。ロシア軍用機は2017年8月と2018年7月に続き、今年6月にもKADIZに入り、韓国政府が抗議したことがある。最近、国連軍司令部が朝鮮半島の有事の際、戦力供給を受ける国家に日本などを含む案を推進するという事実が伝えられたが、今回の中ロの合同訓練は、北東アジア地域で米日同盟の強化などを通じて軍事力を拡大しようとする米国を牽制する動きとも言える。
23日、中ロの軍用機4機は史上初めて韓国と日本の防空識別圏への進入と離脱を繰り返しながら、長距離競合哨戒飛行訓練を実施したが、専門家らは、両国の爆撃機の合同訓練には東海を越えて南シナ海まで作戦半径を広げる目的があると分析している。中ロが米国の主導するインド太平洋戦略に共同対応する能力を備えようとしているというのだ。国家安保戦略研究院のイ・スヒョン責任研究委員は「中国とロシアは米国のインド太平洋戦略に対抗する事実上の同盟関係で動いている」とし、「2014年のウクライナ併合後、米国と欧州の制裁を受けているロシアは、南シナ海や貿易、技術覇権問題で米国と対立する中国と手を結んでおり、2016年頃から両国の軍事的協力関係が大きく強化されてきた」と話した。
ある軍消息筋は「米国はインドと協定を結んで中国の南西側を塞ぎ、日本と(の軍事協力で)中国の東側を塞ぎ、ひいては韓米同盟も強化しようとしている」とし、「最近、米国が台湾に兵器を販売する計画まで明らかにしたことで、南シナ海まで全方向から中国を包囲する形になっている」と指摘した。
8月初めに行われる韓米合同軍事演習を牽制しながら、ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官の韓日訪問まで狙ったという見通しもある。軍事専門家のキム・ジョンデ正義党議員は「過去には防空問題を協議できるよう、空軍作戦司令部レベルで韓中ホットラインが構築されていたが、THAAD問題が発生した後、韓中間の軍事ホットラインが断絶した状態」だとし、「中ロの合同訓練が増えたものの、今回は様相が異なる。古くさい東アジア地政学の軋轢が再燃しかねない」として、懸念を示した。
ただし、ロシア政府は領空を侵犯しなかったと主張しており、ロシアに独島領空を侵犯する意図があったかどうかは確実ではない状況だ。これに対する分析も分かれている。一部では、KADIZを飛行していた途中に誤って領空に入り、韓国空軍の警告で南に急旋回した可能性を指摘する専門家もいる。国防大学のムン・ジャンリョル教授は「ロシアの早期警戒管制機が意図的に領空を侵犯したのか、防空識別圏を飛行しているうちに偶発的に侵犯したのかは確かではない」と話した。国家安保戦略研究院のチェ・ヨンファン安保戦略研究室長は「韓国がロシアと安保問題で対立する部分が多くないため、わざわざ韓国を刺激したとは考えがたいが、(領空侵犯が)異例的なものなので、もう少し見極める必要があるようだ」とし、「明らかなのは、中ロ両国の軍用機が東海上でただならぬ動きを見せている点」だと分析した。
一部では、ロシアが最近対立が深まっている韓日関係を悪化させ、韓米日軍事協力に亀裂を生じさせようとしているという分析も出ている。軍消息筋は「ロシアの異例的な領空侵犯は、日本が韓国の独島領有権を認めない状況で、韓日関係にさらに混乱を招こうとしたのではないかという疑念を抱かせる」と話した。