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文大統領「日本、協力の道に出れば喜んで手を握る」

登録:2019-08-16 05:56 修正:2019-08-16 07:29
文大統領8・15記念演説:対日メッセージ 

遠回しに“経済報復”を批判 
強制動員・慰安婦問題に言及せず 
「後を追って成長する国のはしごを外してはならない」 
 
「責任ある経済強国」のビジョンを提示 
「韓国の道は日本とは異なる 
より大きく協力し、より広く開放」 
 
日本に大胆な提案 
「世界中が平昌で“平和”を見たように… 
東京五輪を共同繁栄の機会に」

文在寅大統領が15日、忠清南道天安市の独立記念館「キョレの家」で開かれた第74周年光復節祝賀式典で、光復軍が署名した大型太極旗を背景に将兵たちと握手し激励している=天安/大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 日本政府の貿易報復措置の中で迎えた今年の光復節であるだけに、演説を通じて文在寅(ムン・ジェイン)大統領が出す対日メッセージに、いつになく関心が集まった。文大統領は同日、強硬な反日メッセージではなく、来年の東京夏季五輪を「東アジア共同繁栄の機会」にしようと、和解の手を差し伸べた。同時に「東アジアの責任ある経済強国」をビジョンに提示し、経済既得権の維持にこだわる日本との差別化を図った。

 文大統領は8月15日の光復節記念演説で、日本の貿易報復措置の“根源”である強制動員問題や日本軍「慰安婦」問題については言及しなかった。その代わり、日本政府の半導体ディスプレイの主要材料の輸出規制とホワイト国(輸出管理優遇措置対象国、8月2日より「グループA」に名称変更)から韓国を除外した措置を改めて批判した。ただし、ストレートな批判ではなく、韓国が「責任ある経済強国」という日本とは全く異なる道を選ぶと強調することで、日本の偏屈な振る舞いを遠まわしに非難した。文大統領は「過去を省察することは過去に執着するのではなく、過去から立ち上がり、未来へと進むこと」だとし、「日本が隣国に不幸を与えた過去を省察する中、東アジアの平和と繁栄を一緒に導いてほしい」と求めた。

 文大統領は、東アジアにおける韓国の道は、経済既得権を守ることにこだわる日本とは完全に異なるものだと述べた。彼は分業と協業で「奇跡」と呼ばれるほど経済発展を成し遂げた東アジアの事例について言及し、「協力してこそ共に発展でき、発展を続けられる」としたうえで、「国際分業システムの中で、どの国でも自国が優位にある部門を武器化すると、平和な自由貿易秩序が壊れる。先に成長した国が後を追って成長する国のはしごを外してはならない」と強調した。日本の輸出規制措置がキャッチアップを図る国に対する“はしご外し”だと規定したのだ。また「私たちは経済力にふさわしい責任感を持って、さらに大きく協力し、より広く開放して、隣国と共に成長する」とし、「私たちは東アジアの未来世代が協力を通じた繁栄を経験するよう、与えられた責任を果たす」と述べた。

 来年の東京夏季五輪を東アジア繁栄の契機にしようという提案も示した。文大統領は「昨年、平昌(ピョンチャン)冬季五輪に続き、来年には東京夏季五輪、2022年には北京冬季五輪が開かれる。五輪史上初めてとなる東アジアのリレー五輪」だとし、「東アジアが友好と協力の基礎を固め、共同繁栄の道に進む絶好のチャンス」だと強調した。また「世界の人々が平昌で“平和の朝鮮半島”を見たように、東京五輪で友好と協力の希望を持つことを願う」と付け加えた。国内の一部で、日本政府に対する対応措置として東京五輪をボイコットしようという声まで高まっている状況で、かえって大胆なカードを先に提示したわけだ。

 文大統領は「今からでも日本が対話と協力の道に出るなら、私たちは喜んで手を握る」とし、外交的な解決と対話の可能性を残した。これについて大統領府関係者は「文大統領が対日メッセージをやわらげたのではなく、国際社会の普遍的価値を守る韓国の道を示し、日本を格調高く批判したものだ」と説明した。

 克日と自強も強調した。文大統領は「日本の不当な輸出規制に立ち向かい、私たちは責任ある経済強国に向かう道をまっすぐ進む」とし、「自らの力で分断を乗り越え、平和と統一に向かう道が日本を乗り越える道」だと述べた。また、「私たちの足りない点を省察しながらも、自らを卑下せず、ともに励ましていく時、私たちは(目標を達成することが)できると信じている」と語った。

ソン・ヨンチョル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/905939.html韓国語原文入力:2019-08-15 23:21
訳H.J

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