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韓国検察、在日同胞スパイでっち上げ事件被害者に“無罪”求刑

登録:2019-07-09 22:55 修正:2019-07-10 11:31
1975年、金淇春中央情報部対共捜査局長の在任当時の姿=SBS『それが知りたい』画面キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 9日、ソウル高裁刑事2部(裁判長チャ・ムンホ)審理で開かれた「在日同胞学園浸透スパイ団事件」(いわゆる「11・22事件」)の再審公判で、検察が被害者のキム・オジャ氏(69)の無罪を求刑した。キムさんが、朴正煕(パク・チョンヒ)政府時代の中央情報部によってスパイの汚名を着せられてから45年がたってのことだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は先月27日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議参加のために日本を訪問し、大阪同胞懇談会で現職大統領としては初めて在日同胞スパイでっち上げ事件について謝罪した。

 1975年11月22日、金淇春(キム・ギチュン)中央情報部対共捜査局部長は「在日同胞学園浸透北朝鮮スパイ団」事件を自ら発表した。金部長は「北朝鮮の指令で留学生を装い韓国国内に潜入した北朝鮮スパイ一党」とし、在日同胞13人を含む大学生21人を検挙したと明らかにした。逮捕された学生の中には、釜山大学史学科の73年度入学生で在日同胞のキム・オジャ氏、大学生のキム・ジョンミ、ノ・スンイル、パク・ジュンゴン氏、哲学科教授のハ・イルミン氏などが含まれていた。

 2019年4月18日に開かれた1次公判で被告人席に立ったキム氏は、44年前に対共分室で加えられた拷問を苦しみとともに思い起こした。「お前はスパイだ。だから当然死ななければならない」。キム氏が対共分室で聞いた最初の言葉だったという。「いきなり私の両頬を力いっぱい9回殴りました。その時以来、左耳が聞こえなくなりました。暴力と脅迫が夜遅くまで続き、自殺しようと歯磨きを口に入れたが飲み込むことができませんでした」。「拷問以上に恐ろしかったのは、ひょっとして性暴行をされるのではという恐怖でした。この席で話すことは辛いですが、恥ずかしい拷問は本当に耐え難いものでした」

 拷問と脅迫の末に、キム氏は「お前たちが話せばすぐに日本に送ってやる」という懐柔に乗せられ、疑惑を自白した。だが、懐柔は嘘だった。キムさんは1審で死刑、2審で無期懲役を宣告された。その後、仮釈放されるまで9年を刑務所で過ごした。

 「キム・オジャ氏に対して無罪を求刑します」。拷問の後遺症で耳が遠く、補聴器をつけたキムさんは、この日の検察の無罪求刑を聞くことはできなかった。

 「法廷では検察の無罪求刑を聞くことができず、法廷から出た後に伝えたら、泣いていました」。キム氏の弁護を務めたイ・サンヒ弁護士が説明した。

 キム氏の再審事件の宣告公判は来月22日に予定されている。昨年4月、裁判所はキム氏とともに起訴されたキム・ジョンミ、ノ・スンイル、パク・ジュンゴン氏に無罪を宣告した。

イム・ジェウ、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/901156.html韓国語原文入力:2019-07-09 20:09
訳J.S

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