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龍山惨事の生存者が自死…真相究明委「国家暴力が殺した」

登録:2019-06-25 08:28 修正:2019-06-25 11:53
南一堂ビルで中華料理店を運営…出所後トラウマを訴え
写真=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 龍山(ヨンサン)惨事当時、屋上コンテナに上り結局刑務所に入った生存者が自ら命を絶った。龍山の惨事から10年たち、トラウマを訴えていた生存者が自ら命を絶ったケースは今回が初めてだ。

 龍山惨事真相究明委員会(真相究明委)は24日、龍山4区域の撤去民だったK氏(49)が前日午前9時30分、山で遺体となって発見されたと明らかにした。K氏は22日午後6時頃、姉と電話で話し「私に何かあっても自責しないでほしい」と言った後、翌朝まで母親と二人で住んでいた家に帰らなかった。家族の通報で警察が位置追跡に出たが、ついに死亡した状態で見つかった。遺書はなかったという。

 K氏は1996年からソウル龍山区の南一堂ビルで中華料理店「共和春」を13年間運営した。売上の80%を出前注文ではなく訪問客が占めるほど、商売は繁盛していた。K氏が南一堂の屋上のコンテナに上がったのは、安定した生計基盤が崩されることへの抗議だった。さらに、K氏は龍山に来る前は鍾路(チョンノ)で中華料理店を3年間運営していたが、いきなりビルのオーナーに追い出された経験があった。2009年1月20日未明、撤去民らと鎮圧警察の衝突により大火災が起き、撤去民5人と警察官1人が死亡した。K氏はコンテナに侵入した警察に捕まり、特殊公務執行妨害致死などの容疑で拘束された。裁判所は彼に有罪を言い渡した。K氏は3年9カ月後の2012年10月に仮釈放された。

 出所後の人生は墜落に近かった。K氏は再び商売をするという願いを叶えることができなかった。料理長の給料を払っても月500万ウォン(約47万円)は稼いだという中華料理店の社長は、姉の経営するチキン屋でサーブや配達をし、昨年末からはスーパーマーケットの配達をしていたという。真相究明委の説明を総合すると、刑務所に行く前は家族に頼もしい姿を見せていたK氏は出所後、本音をあまり表さず、よく眠ることもできなかったという。K氏は家族に何度もうつ症状を訴え、高いビルに配達に行くたびに飛び降りたくなる衝動に駆られるなど、トラウマにも苦しんだ。K氏は最近このような症状がひどくなり、2~3カ月前から病院に通い、うつ病の薬を服用した。イ・ウォンホ真相究明委事務局長は「生存者の大半が、惨事が起きた冬になるとよく眠れないなどトラウマがある。一部は家の外に出ることができず、頭に虫がはいっていると言うほど症状がひどいケースもある」と明らかにした。

 真相究明委はこの日、追悼声明を出し「10年が経っても、過剰鎮圧も、誤った開発も誰も責任を負わず、唯一立ち退き住民らにだけ『惨事』と呼ばれる死の責任を全部かぶせて生きるよう追いやった警察と検察、建設資本(サムスン)と国家が彼を殺した」と糾弾した。真相究明委は「警察庁長と検察総長は被害者たちにきちんと謝罪し、再発防止策を設けなければならない。また、政府は権限ある調査機構を通じて李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権における国家暴力事件に対する真相調査を始めなければならない」と求めた。

K氏の葬儀場は道峰区(トボング)のジョン病院の葬儀場別室2号に設けられた。出棺は25日午前5時。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/899077.html韓国語原文入力:2019-06-24 20:46
訳M.C

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