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民主労総、委員長の逮捕に反発し「対政府闘争」…労政衝突の警告音

登録:2019-06-24 09:44 修正:2019-06-24 12:15
民主労総委員長の拘束に強く反発 
労働者大会、全面ストライキなど相次いで予告 
党・大統領府、破局を防ぐ突破口に苦心
民主労総の組合員らが22日、大統領府の前で開かれた全面ストライキ決議大会で、拘束されたキム・ミョンファン委員長の釈放と労働弾圧の中断を要求している=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 全国民主労働組合総連盟(民主労総)のキム・ミョンファン委員長の拘束で、労働界と政府の関係が破局に向かっている。民主労総は「大々的な労働弾圧粉砕の総力闘争を展開する」と強硬対応を予告した。大統領府と与党は、拘束については司法部の所管なので介入する余地がないとしながらも、破局を防ぐ突破口を見いだそうと苦心している。

 キム委員長が弾力的労働制度の単位期間を拡大する労働基準法改正案に反対して開かれた集会で、不法行為を主導した疑いで21日に拘束されると、民主労総は22日、非常中央執行委員会を開き、対策を話し合った。彼らはキム委員長の拘束を労働弾圧と規定し、26日の蔚山(ウルサン)現代重工業前で全国労働者大会、7月3日の公共部門非正規職全面ストライキ、7月18日の民主労総の全面ストライキ決起大会などにつなげることにした。

 また、新しい活路を模索していた労政関係も全面的に検討することにした。ただ、雇用委員会、労働委員会など民主労総が参加している70余りの政府委員会への参加は、激論の末に続けることにした。全面的に参加しない場合、組合員や労働者が被害を受けかねないという一部の産業別労組の主張が通った結果だ。

 一方、民主労総は23日、国際労働組合総連盟(ITUC)のシャロン・バロウ書記長がキム委員長と民主労総幹部たちに送った韓国政府を批判する書簡も公開した。彼は書簡で「韓国政府が逮捕や拘束によって正当な労組活動を犯罪化し、労組の幹部らに対する司法的弾圧を続けている」とし、「韓国政府は(結社の自由と関連した)国際労働機関条約87号、98号を批准しておらず、持続的に権利を侵害し、19日にジュネーブで発表した『国際労働組合世界労働権指数』で(労働基本権の保障がない国である)5等級を記録した。国際労総は、韓国政府がキム委員長などの刑事事件を取り下げ、結社の自由などに関する協約を直ちに批准することを求める」と明らかにした。

 弾力労働制などをめぐってギャップが広がっていた労働界と政府の緊張感は、極度に高まっている。「ろうそくデモ」で誕生した文在寅(ムン・ジェイン)政権は労働尊重社会を明言し、政府にかける労働界の期待が大きかった。しかし、公共部門における非正規職員の正職員への転換のような政策が本来の趣旨とは違って展開されるなど、労働改革が失速し、失望感が増す状況だった。

 「(キム委員長の拘束は)文在寅政権もやはり労働尊重社会ではなく財閥尊重社会に進もうとしていることを明確に示すもの」(キム・ギョンジャ民主労総首席副委員長)という表現が出るのもそのためだ。さらに民主労総内部では、一部メディアの「民主労総びいきの政府」という世論づくりが続いているため、来年の総選挙を意識し、与党が“線引き”したのではないかという話まで出ている。

 大統領府と与党は、ただでさえ疎遠だった民主労総との関係がさらに悪化するのではと懸念している。週52時間の労働時間短縮や国際労働機関(ILO)の核心協約批准、全国教職員労働組合・公務員労組の認定、最低賃金の決定などの懸案は積もっているが、しばらく水面下の対話もなかなかできないムードになったということだ。

 大統領府の関係者は「拘束令状の発付は司法部の所管だからといって(大統領府に)責任がないと言いたくない。国政を総括する大統領府としては、冷え込んだ労政関係を改善するために何とかして突破口を見出さなければならない」と述べた。問題は、このうえなく激昂した民主労総をなだめるカードが、現在のところあまりないという点だ。同関係者は「今の段階では、大統領府が何とかして対話で問題を解決しようとしているという事実を受け入れられるよう、真摯な態度でアプローチすべきではないか」と話した。

共に民主党内でも、何とか対話のきっかけを作らなければならないという意見が頭をもたげている。党の主要関係者は「政府与党としては関係を回復するモメンタムを作る必要があるが、今は政府が出て行きにくいので、党が乗り出して政治的解決を模索すべきだ」と述べた。民主党内で党指導部が議員個人レベルでもキム委員長の拘束事態に遺憾を表明すべきではないかという意見も出ている。

 労働界は、政府の“決断”を求めた。韓国労働組合総連盟(韓国労総)のキム・ジュヨン委員長は、「キム・ミョンファン委員長の拘束は非常に残念で遺憾だ。証拠隠滅や逃走の恐れがないため、一日も早く釈放し、不拘束状態で調査しなければならない」と述べた。韓国労働社会研究所のノ・グァンピョ所長は「政府が労働界と対立しながら政局を率いることは難しく、労働界も闘争一辺倒に進むのに限界がある」とし、「政府が国政課題として示した最小限の労働改革原則を改めて表明し、労働政策が企業に振り回されない姿勢を見せるべきだ」と述べた。

チョ・ヘジョン、イ・ワン、イ・ジヘ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/898993.html韓国語原文入力:2019-06-23 21:03
訳M.C

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