文在寅(ムン・ジェイン)大統領が3日、大統領直属の三・一運動および大韓民国臨時政府樹立100周年記念事業推進委員会を発足させた背景には、独立運動勢力と正義を重んじる市民を大韓民国の主流として定着させるという強い意志がある。また、「臨時政府樹立100年」を迎える来年を、朝鮮半島平和体制の構築の起点にする考えも明らかにした。
文大統領は同日、文化駅ソウル284(旧ソウル駅舎)で開かれた記念事業推進委員会の発足式典での激励の辞で、「三・一運動と臨時政府樹立100周年を記念することが、正しく公正な国の土台にならなければならない」とし、大韓民国の正統性と法統が、99年前「自主独立と平和、民主と人権、自由で平等な民主共和国」を叫んだ国民たちと臨時政府にあることを明らかにした。彼は特に「南北首脳会談を成功させた主人公も国民」だとし、「朝鮮半島の平和と共同繁栄を念願する国民の力が大胆な想像力の土台となり、朝鮮半島の新しい歴史を切り開いている」と強調した。
文大統領は推進委に南北が共に持った独立運動の歴史をもとに、南北交流事業の土台づくりに取り組んでほしい呼びかけた。彼は激励の辞で、4・27南北首脳会談で三・一運動100周年南北共同記念事業の推進を協議した事実を初めて公開した。南北が共有している歴史をテコにし、南北関係の改善はもちろん朝鮮半島の「未来の歴史」も南北がともに書き下ろしていく考えを明らかにしたものと言える。文大統領は「70年間続いてきた南北分断と敵対は独立運動の歴史も引き裂いた」とし、「南北が独立運動の歴史を共有することになれば、互いの心ももっと近づくと思う」と述べた。文大統領は今年の三・一節記念演説でも、「三・一運動と大韓民国建国100周年を恒久的平和体制構築と平和に基盤した繁栄の新しいスタートラインにする」と明らかにした。文大統領は推進委員会に「南北が共同で進められる事業を構想してほしい」と要請した。
同日の発足式典の場所でソウル駅が選ばれたのは、独立運動の象徴性もあるが、同時に北朝鮮との鉄道連結を通じて大陸に広がっていく関門の役割を果たすという点を強調したものとみられる。文大統領が直接ソウル駅を行事場所として選択したという。文大統領は激励の辞で、南慈賢(ナム・ジャヒョン)女史、李儁(イ・ジュン)烈士、孫基禎(ソン・ギジョン)選手、画家の羅ヘ錫(ナ・ヘソク)などがソウル駅から中国や欧州へ行く列車に乗った事実に触れ、「ソウル駅は韓国の歴史の主な舞台であり、私たちの生活を大陸へと拡張する出発地だった」と意味づけた。また、「ソウル駅に残された韓国の歴史の足取りを振り返りながら、私たちが進むべき未来を考えている」とし、「ここ(ソウル駅)で開かれるの発足式が新しい100年を知らせる汽笛の音と共に、これまでの100年を記念する力強いスタート地点になることを願う」と述べた。
同日、公式に発足した推進委員会は、かつての独立運動の歴史の記念にとどまらず、大韓民国の新たな価値観を作る「国家ビジョン委員会」の役割を果たすものと見られる。李洛淵(イ・ナギョン)首相とともに共同委員長を務めたハン・ワンサン元首相は同日の行事で、「誇らしい国民、正しい国家、平和の朝鮮半島が記念事業のビジョン」だとし、「朝鮮半島平和プロセスの過程で、朝鮮半島の平和と未来繁栄を着実に準備する」と述べた。彼は、未来100年のビジョンの設計▽南北共同100周年記念行事の協議▽小中高校生たちを対象にした民主市民・平和統一教育などを推進すると明らかにした。大統領府は、推進委が「三・一運動と臨時政府樹立100周年を迎え、大韓民国の正統性とアイデンティティを立て直し、民主・人権・平和に基盤した繁栄の未来100年を準備する」と明らかにした。
発足式典は一般的な行事を超え、今後委員会が盛り込む多様な価値を表現することに焦点が当てられた。多文化家庭出身のモデル、ハン・ヒョンミンさんが国旗に対する誓いを、柳寛順(ユ・グァンスン)烈士の母校である梨花女子高校の学生らが愛国歌(韓国の国歌)を先唱するなど、三・一運動の精神を未来の世代が継ぐ点を強調した。また、俳優のキム・ジョング氏がミュージカル「白凡・金九(キム・グ)」で金九先生の役を務めた縁で、今回の発足式でも金九先生の「私が望む国」を肉声で再現した。文大統領は、昨年の光復節に当時臨時政府を率いた白凡・金九先生の墓地があるソウル龍山区(ヨンサング)孝昌園(ヒョンチャンウォン)を訪れた。