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米軍に囲まれる韓米連合軍司令部、米軍の発言権が高まる可能性も

登録:2019-06-04 06:41 修正:2019-06-04 07:42
当初、国防部の敷地内に移転する計画  
軍事力量を韓国軍中心に再編するのが目標 
キャンプ・ハンフリーズに移転すれば  
韓国統合参謀本部との疎通に支障を来たす恐れも  
国防部は「米軍と分散すると、さらに問題大きくなる」  
費用・居住条件などを考慮したもよう
文在寅大統領が今月3日午後、大統領府を訪問したパトリック・シャナハン米国防長官代行(左から3番目)と挨拶している=大統領府写真記者団//ハンギョレ新聞社

 韓国と米国が、韓米連合司令部を京畿道平沢(ピョンテク)の米軍基地「キャンプ・ハンフリーズ」に移転することに合意した中、戦時作戦統制権(戦作権)の移管後、韓国軍大将が指揮する未来連合司令部の運営に与える影響に注目が集まっている。これまで国防部が推進してきた連合司令部の国防部敷地内への移転は、韓米同盟の軍事的力量を韓国軍中心に結集することを見据えたものだったからだ。国防部は以前、これを韓国軍主導の未来連合司令部を念頭に置いた布石だと説明したこともあった。

 連合司令部がキャンプ・ハンフリーズに入ると、正反対の環境に置かれる。ここには在韓米軍司令部と米8軍司令部が位置している。米2師団および韓米連合師団も入居している。戦作権の移管後、韓国軍が主導する未来連合司令部が米軍に囲まれるわけだ。市民団体関係者は「連合司令部が米軍基地内にあると、米軍の発言権がさらに強まるのは避けられない」と述べた。連合司令部はキャンプ・ハンフリーズの韓米共同施設に建てられるという。

 連合司令部が平沢に移転した場合、有事の際に韓国統合参謀本部との意思疎通に支障をきたす恐れがあるという指摘もある。統合参謀本部で働く要員たちと会う機会が少なく、歩調を合わせるのが難しくなる可能性があるということだ。韓国軍と米軍の意思疎通は、連合作戦の効率性を左右する核心要素の一つだ。ロバート・エイブラムス在韓米軍司令官も、連合司令部の平沢への移転を協議する際、このような懸念を表明したという。

 しかし国防部は、このような問題は連合司令部が国防部の敷地内にある場合、さらに大きくなると説明する。企画や作戦など連合司令部の核心参謀は主に在韓米軍司令部の参謀が兼任しているため、連合司令部が国防部の敷地内に入ると、在韓米軍との結合度が落ちるということだ。国防部関係者は「連合司令部が平沢に移転すれば、在韓米軍と完全な同一体として勤務するため、連合作戦の効率性が高まる」と強調した。

 国防部は、連合司令部の平沢への移転はこうした作戦効率性の他にも、任務遂行の状況や移転時期と費用、龍山(ヨンサン)基地の移転条件の保障など、現実的な条件を綿密に検討した結果だと説明する。連合司令部が国防部の敷地内に移転した場合、米軍と家族が龍山近くに居住しなければならない。一世帯当たり少なくとも25坪以上のマンションが必要になると軍は予想している。国防部の敷地内の建物にインド太平洋司令部や在韓米軍司令部、在韓米軍司令部などを結ぶC4I(指揮通信体系)の構築にも莫大な費用がかかる。軍関係者は「費用の問題もあるが、現実的にそのような空間を確保することは難しい」と述べた。

 韓米は当初、連合司令部を龍山米軍基地の移転とともに平沢に移転することで合意した。しかし、米軍が龍山への残留を希望する一方、韓国社会の一部で韓米同盟の象徴性が弱まるという憂慮の声もあがり、論議を呼んだ。結局、2017年10月、ソン・ヨンム当時国防部長官やジェームズ・マティス米国防部長官が連合軍司令部の国防部敷地内への移転に合意した。ビンセント・ブルックス連合司令官(当時)は同年末、連合司令部移転関連の了解覚書(MOU)に署名した。

 連合司令部の移転はエイブラムス在韓米軍司令官が昨年11月に赴任してから、再び原点に戻った。エイブラムス司令官は1月、連合司令部の移転候補地とされている国防部内の建物などを見学した後、再検討を要求したという。連合司令部の移転がこのように米国の要求によって覆されたこと自体が、韓米同盟の不均衡性を示すという指摘もある。国防部関係者は「今回の決定は韓米が同盟のレベルで検討した結果」だと述べた。

ユ・ガンムン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/896509.html韓国語原文入力:2019-06-03 21:38
訳H.J

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